スキンシスターズ(2)
 作:嵐山GO


 ピンポーン
 チャイムが鳴り。男がドアを開ける。
「おお、早いね。まだ11時過ぎたところだ」
「初めて来る場所には早めに行くように心がけているんです。遅刻しては
いけないし」
「うん、それはいいね。じゃ、中に入って」
 まるで10代の少年のような格好の三崎を室内に迎い入れる。
「時間はたっぷりあるけど、まずは来てくれたので細かな説明をしよう。
こっちに来て」
 玄関から別の部屋へ通された。中には大きなドレッサーと大きめのベッドが
ある。

「メイクの人とかはいないんですか?」
「うーーん、実は女装とはちょっと違うんだな。これを見て」
 シャーッ!
 カーテンを引くとそこにはゴム状の長い袋のようなものが掛けられている。
「これは?」
「手に取って見てもいいよ」
「何かの抜け殻…いや、まるで脱皮した人の皮みたいですね。頭の部分には
髪の毛まで付いてる…」
「その通り。皮だよ。ソレを着てパーティに行くんだ」
「これを…ですか?」
「うん、ところで君、身長は? 170センチは無いみたいだけど」
「ええ、165センチです。男の癖に背が低いんで女の役を、よく
やらされるんです」
「ははは、いいじゃないか。私なんか153センチだよ。その辺の女の子
よりも低いかもしれない」
「これを着るってどうやって…あ、結構伸びるんですね」
「着る時はね、ポケットティッシュを開くように左右に力を込めて皮を
引っ張るんだ。そうすると裂け目が出来るから、そこから着ることが出来る。
脱ぐ時も同じ要領さ」
「でも破れたままだと」
「いや、大丈夫。元に戻ろうとする性質がある。それに時間が経てば元通り、
くっ付くようにもなっている。皮の形状記憶、ってところかな」
「長時間着たら皮膚呼吸とかはどうなんですか?」
「それも大丈夫だ。呼吸も排尿も、もちろん食事に至るまで人が生活で行うことは
全て行うことが出来る」
「すごいですね。貴方の発明ですか?」
「まあね。だがこれを作るのに少々、金が掛かりすぎたんだ。少し回収
したいんだよ」
「それなら僕、お金貰って大丈夫なんですか?」
「ああ、君に渡すのは先方から貰う一部だ。私が払うわけじゃない。本来なら
君の役で君の演技だから本当なら全額、渡したいのだが、悪いね」
「いえいえ、僕にとってはそれでも大金ですから。それにしても凄いパーティ
なんですね」

「ああ、それも後で詳しく説明する。まずは私が着て見せるから、続いて君も
着てみてくれるかい?」
「はい。2着あるのはその為なんですね」
「私も行くんだよ。そのパーティに」
「あ、そっか。そうですね。え、ええ!? 貴方も女装して?」
「ま、そういう事だ。安心したかい?」
「あ、え、そうですね…複雑な心境です」
「あはは、私は君みたいに若くも可愛くもないからね。でも、この皮は男の顔形は
関係ないんだ。だが身長は僅かに関係するから君はコッチの皮、私はコレだ」
「でも伸びるんでしょう?」
「まあね。多少なら伸びも縮みもする。だが180センチの大男が150センチの
少女には慣れないのだ。皮に負担がかかりすぎる。リスクが大きい。分かるよね?」
「分かる気がします」
「いいかい? じゃ、着てみるよ」
 男は言い、着ている服を全部脱ぎ捨て、先ほど説明した要領で皮を着込んでゆく。
「む、むむむ。むー。皮が馴染むまで、ちょっとの間、キツく感じるんだ」
 頭部を被り、しばらくすると皮が伸びたり縮んだりを繰り返し男だった身体に
馴染んでゆく。

「どう? ちゃんと女の子でしょ? うふん」
 両手を開いて恥ずかしげもなく裸体を見せつけウインクまでしてみせる。
「え? あ、うわ! 声も女じゃないですか!?」
 しかし三崎が驚いたのは実は容姿でも、声でもなくその変容ぶりだった。
 まるで先ほどの中年男はどこかへ消え、突如少女が現れたんじゃないかと
思えるほどに。
「そうなの。これも設定済みよ。貴方の皮もそう。さ、服脱いで」
「あ、え、ええ」
 男の化けた姿だと分かっていても、三崎は恥ずかしさを隠せない。
「あの…ちょっと、別の場所で1人で着ちゃ駄目でしょうか?」
 なんとか上着とズボンは脱いだものの最後の一枚は脱げないでいた。
「なんで? どうしたの? いいじゃない。私達、男同士よ」
 そうは言っても、その存在は完璧に少女そのものだ。
「いや…あの、その」
 三崎は股間を押さえた。
「もしかして勃起してるとか?」
「す、すみません!」
「うふ。なんかちょっと嬉しいな。私の裸見て興奮してるんだよね」
「うっうー」
「ブリーフ、下ろしてあげるね」
 少女は床に跪き、三崎のパンツを下ろした。
「きゃん! すごい。飛び出してきた!」
「うわ、ごめんなさい」
「ふーーん。ねえ、聞いていい? 三崎くんて童貞なの?」
「う…そうです。でも、それって何か関係あるんですか?」
「ないよ。でもね、ほら、こうやって触るとどうかしら?」
 大きく勃起した三崎のペニスを少女の小さな手が包む。
「はうっ! 柔らかい…あ、そんなことしたら、あう! やめ…あぁ、出る!」
 ビュルン!
 ペニスの先端から真っ白な白濁液が飛び出し、少女の顔を汚した。
「きゃん! 早ーい」
「すみません、すみません」
 三崎は懸命に頭を下げて謝る。
「いいの。でも私、顔洗ってくるから、やっぱり1人で着てて。出来るよね?」
「はい、多分」
「平気よ。そう簡単に破れたり壊れたりしないから。ちゃんと着てよね」
 少女は洗面所に向かったようだ。

 三崎は大きく深呼吸をして、掛けられたもう一枚の皮を手に取る。
「ええと…たしか、こうだっけ?」
 教えられた通りに皮を開き、まず右足から差し込む。
 続いて、左足、右手、左手。最後に頭部を被り込む。
「うう、確かにちょっとキツくなる」
 キューー
(背中、閉じたかな? ちゃんと出来てるのか確かめられないな。どうしよう?)
「あー、あー。ホントだ。声も女の子だ。こっちは髪が長いや」
 スレンダーな女性の完成。まだ自分の姿を見ることは出来ないが、大きな胸、
括れたウエスト、うっすらと生えた陰毛、長い足…。
「あっちの女の子とは、だいぶ違うみたいだな。そういえば、あっちはアソコに毛も
生えてなかった」
 女性の声で色々と喋ってみる。

「あ、いいじゃない! 似合ってるよ」
 少女が戻ってきた。
「そ、そうですか…自分じゃ見れなくて」
「見れるよ。ほら」
 気が付かなかったが脇に大きなキャスター付きの姿見が置いてあった。
 鏡面を三崎の方へ向ける。
「あ、これが僕…」
「もう僕じゃないよ。私、でしょ?」
「私…」
 そこには恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、大きく目を見開く美少女が立って
いる。
「美咲ちゃんのプロフィールは、身長161センチ。バストは86のDカップ。
ウエストは…」
「あの、そのデータは必要なんでしょうか?」
「必要だよ。向こうに伝えてあるもの。だから貴方がピッタリなのよ」
「演技だって言いませんでしたか?」
「もちろん演技もね」
「はあ」
「ちなみに私の名前はユキ。本名のトモノリ(友紀)から付けたんだけどね。
えへへ。身長は147センチ。チビっ子だね。バストも78のB。発育途上って
いうか幼児体型? 思いっきりロリだけど、こういうのが好きっていう人も
いるじゃない? ね?」
「そうですね…ふう」
 三崎は、そのロリータ少女(中身は男だが)に、いとも簡単にイカされたので
返事に困る。
「何だか気乗りしない返事ね。あ、そうそう。持っていくバッグの中に服とか
入ってるから着てみてよ」
「バッグ?」
「うん、向こうで着替えたりするの。セーラー服とか水着とか。どう? 
変態でしょ?」
「はぁ、でも、心なしか聞いてる内に慣れてきました」
「なら良かった。はい! こっちが美咲ちゃんのバッグだよ」
 やはり隅においてあったバッグを引き寄せ、『美咲』に渡す。

「ビキニ…ですね。これ着るんですか?」
「うん、そう。私の方もビキニなんだけどフリフリで、ちょっと子供っぽい感じ
なの。私はもう何度か着てみてるけど、美咲ちゃんはサイズが気になるから、
一度着てみて。大丈夫だと思うけど駄目なら、その格好で買いに行かなくっちゃね」
「いやまだ、この姿に慣れないんで外出したくないですよ。なんとか着てみせます」
 美咲は布地の少ない黒の紐ビキニを着け始めた。
「うん、いんじゃない。とってもセクシーよ。紐、キツくない? 締め直して
あげるけど」
「大丈夫みたいです。うん、大丈夫」
「無理しないでよ。どっちみて、後で外には出るんだから」
「分かってますけど、もう少し心の準備をさせて下さい」
「いいよ。じゃ、それ脱いで今度は制服ね。セーラーだけど着たことは?」
「セーラー服なら何度か着ました」
「うん、だったらリボンも結べるよね。やってみて]
「まるでファッションショーですね」
 美咲はビキニを脱ぎ、バッグに戻すと折りたたんであった真っ白な夏の制服を
取り出す。
「これも給料のうちよ」

「どうでしょう?」
「こっちも問題無しね。うん、オッケー」
「もう1枚洋服が入ってますけど」
「あ、それは着ていく服なの。下着類も入ってるからね」
「服は着てみなくていいんでしょうか?」
「大丈夫じゃない? ちょっとゴムが入ってるワンピースだから」
「そうですか…」
「じゃ、制服汚れちゃうとマズイから畳んでバッグに戻しておいてね」
「お互い裸で目のやり場に困るんですけど、何も着ないんでしょうか?」
「まだちょっと教えておきたいことがあるの」
「こっち来て」
 ユキがベッドへ誘う。
「な、何をするんですか?」
「楽しいこと。女の喜び、知っておいた方がいいと思って」
「もしかして、パーティも…」
「うん! 考えてるとおりよ」
「つまり男に抱かれるって事ですよね?」
 先ほどは男にイカされ、次は男に抱かれろという。
「まあね。いいじゃない。今は誰が見ても立派な女なんだから」
「もし断ったら?」
「お金は1円も出ないよ。それに今からスルことを覚えたら、断らないと
思うけどな」
「…うー」

「ここに寝てね」
 ユキに化けた中年男がベッドで手招きする。
「はい」
 諦めの境地で仰向けに寝てみる。
「今から言うこと、よく聞いて覚えておいてね。まず私と美咲ちゃんは同い年
という設定。17歳なの。当然、同い年なんだから敬語とか無しだからね」
「ああ、そっか」
「次に2人共処女、ヴァージンなの。これは絶対に守ってよ。何があっても、
膜だけは破らないで。分かる? 自分で指とか入れちゃ駄目なんだからね」
「そんな事しませんて」
「だといいけど。て言うのもね、実はこの2人の身体、性感帯が多くて感度が
凄くなってるの」
「意味が分からないんですけど」
「なるべくタメ口で喋ってね。えーと、説明する。女の快感なんて男には分からない
じゃない? 分かってるのは男より凄いんだろうなって事くらい。だからね、
結構高めに設定しちゃったのよ。初めてで、痛いとか、感じないのって嫌でしょ?」
「そうですか? 逆に怪しまれたりしませんか?」
「向こうの希望は処女でエッチな若い子なの。だから、その要望に応じてるんだから
バレたりは無い。ていうか絶対にありえない」
「つまり…」
「つまり今から2人で試すけど、単純にエッチな女の子を演じてればいいのよ。
破瓜は多少は辛い演技でもしてみせてね。実際、辛いかもしれないけど」
「貴方は…」
「ユキだってば」
「ユキちゃんは試してないんですか? 試してないの?」
「試したよ。何度もね。でも膜は破ってない」
「で、どうでした? あう、どうだった?」
「良かったよぉ。何度もイケちゃうの。この味を覚えたら男なんて馬鹿らしいよ」
「そう…なんだ」
「さ、楽しもうよ。ここは3階だけど下の通行人に聞こえるくらい大きな声、
出してもいいから」
「まさか。それは無いと思います」
「うふふ、果たしてそうかなぁー。えいっ!」
 ユキはさっそく、美咲の大きな胸に手を伸ばし揉み始めた。

「ああっ!? な、何を…んんんー」
 いきなり両胸を揉まれるが、拒むわけにもいかず目を閉じ感情を押し殺す。
「いいんだよ。素直になれば?」
「で、でも」
「我慢してるんだね。可愛いっ! 乳首弄っちゃおっと」
「あ、あん! そんな…」
 揉みながら親指の腹で乳首を擦り上げた。
「えへへ、ほらぁ、勃ってきたみたいよ。どうする?」
「駄目だって」
「強情なんだ。だったら吸っちゃうもんね」 
 ちゅっ、ちゅばっ!
「え? ええ? ちょ…ちょっと待って。はうっ!」
「感じるでしょう? ううん、感じてる筈。だって私がその皮も作ったんだもん。
隅から隅まで知ってるよ。ここなんかガチで敏感でしょ?」
 ユキが胸を揉んでいた手を離し、陰部を撫でる。
「ひゃうんっ!」
「いい声、出てきたね」
(さてと、いつまで耐えられるか見ものだぞ)

 ユキは伸ばした手の指先を折り曲げて溝にあてがう。
 くちゅり
「わーい、もうこんなに濡れてるぅ」
(へへへ、良かった。しっかり機能してるじゃないか)
「あんんーーーっ」
 美咲はまだ頑張って迫り来る未知の快感と戦っている。
(我慢すればするほど、後で大きな絶頂がくるのに知らないな。ま、いっか)
「また吸っちゃうよ」
 ちゅば、ちゅば、ちゅば
「あ、あ、あっ、ああ、あー」
 本人も気づかない内に艷っぽい声が漏れだす。
 ちゅ、ちゅっ、ちゅー
「は! ああ、はうっ!」
「美咲ちゃん、いい声出てるよ」
「駄目なのに…こんなの変…なのに」
「いいから、いいから。しっかり女の子になっちゃいなよ」
(男から女になって初めての快感か。そろそろ1回めの絶頂を与えてやろうか)

 ぬちゅ、ぐちゅ
「女の子の一番感じる場所、知ってるよね?」
 クリトリスを探しだすと、指の腹で撫でた。
「え? あ、待って…ソコは?」
「そうココだよ。ここは快感を得るだけの唯一のポイント。堪らないよー」
 くりくりくりり…
「はぁ〜〜〜ん! 駄目だって」
「美咲ちゃん、イッちゃいなって」
「うぐ、ぐっ、ううーーーっ!」
 下唇を噛んで絶頂と戦う。
(無理、無理。耐えられるもんか)
「ほら、女の子になっちゃって」
 その一言が引き金になったのか美咲は大きな声で、身体を海老のように
反らせて激しく絶頂した。
「はうううーーーっ! イックーーーッ!!!」  

「イッたね。どう? よかったでしょ?」
「はい。びっくり…です。男には無い快感という意味が分かりました」
「ほらぁ、また敬語になってるぅ。駄目じゃない」
「あ…ゴメン…」
「落ち着いたら2回戦始めるわよ。今度は私も…ユキにもシテ欲しいから
体位を変えてシックスナインしましょ」
「う、うん」
「じゃ、私、こっちね」
(へへ、すっかり女らしくなってきたじゃねーか。さすが演劇部だ。後は
問題無さそうだな)
 2人はシックスナインの体勢を取り。お互いの秘部を見つめ合う。
「舐めてね。私も舐めるから」
「うん…」
 ユキは身体が小さいので上、美咲は下になっている。
 チュッ
「はぁう〜〜〜!?」
「イッた後だから敏感なのかな? でも女の子は何度でもイケるから大丈夫よ」
「うぅ」
 こうして2人は女の身体を存分に味わい、三崎という男もその素晴らしさを
認識した。

「はう〜、ユキ…またイッちゃった。はぁはぁ」
「私…もう、何度イッたか…分かんない。ふぅ、ふぅ…」
 色んな体位に切り替え、女の性を貪り尽くした。
「最後まで指入れなかったね。偉いぞ」
「…だって、ユキちゃんが駄目、駄目って言うから」
「そうだったね。ゴメンね」
「ユキちゃんも処女って言ったでしょ。そんなに感じて入れたくならない?」
「入れたいけどね…入れちゃったら終わりだから。膣内も調べられるみたいだし」
「そう…なんだ」
「さ、少し休んだら出かけよ。ね? もう大丈夫でしょ?」
「う、うん。ユキちゃんに色々、教わったから大丈夫…でも、お願い。もう少し、
休ませて」
「うん、いいよ。約束の時間はまだ先だから、休んでて」
(よし、もうコイツは大丈夫だ。すっかり虜になってるぞ。又いつかパーティが
ある時は呼び出して使うか…次は多人数の乱交かな?)
「私、先にシャワー浴びてくるね。その後、さっきのお洋服に着替えて、
おめかしして出かけましょ」
「うん! 楽しみ」
「ふ〜ん、ふ〜ん♪ 髪型も変えてみようかなぁ〜」
 ユキはベッドから降り、独り言を言いながら浴室へ向かった。
 一方美咲はまだ、絶頂後の長い余韻を楽しんでいた…。


  ****************** 

「着替え終わった?」
 ユキが洗面所から戻ってきた。
「あ、髪型変えたんだ」
「うん、この方がいいかなって思って。どう?」
 セミロングだった髪を左右で束ねて赤い大きなリボンでツインテールに
結っている。
 服装はフリフリのキャミソールにやはりフリルたっぷりのミニスカート。
 ご丁寧に発表会にでも履くようなレースの飾りの着いた靴下。
「可愛いですよ」
 思わず敬語になってしまう程に似合っていた。
 ロリータでエロく、しかも処女とくればロリコンであれば言うことはあるまい。
「美咲ちゃんもイイ感じ」
 こちらは胸を強調したミニのワンピース、さらに長い足を綺麗に見せる黒の
ハイソックス。完璧だ。
「よく、こういうの選んできましたね」
「ほら、また喋り方戻ってるよ。向こうじゃ、それやめてね」
「あ、うん」
「洋服とかはね、雑誌で見て決めたの。私みたいなオチビさんや美咲ちゃんみたく
足の綺麗な子には、やっぱミニでしょ?」
「恥ずかしいけどね」
「でも、さすがに下着とかは問題なく着けられたんだね」
「うん、女装は散々させられたから。大抵のものは問題なく着れるわ」
「じゃ、行こ。バッグ忘れないで」
「うん!」
 2人は部屋を出て、初めて一緒に外へ出る。


「それにしても、よくそんな大金出しますね。あ、いや出すよね」
 2人は地下鉄に乗り換え、周りを伺いながら会話した。
「おそらく医者とか、あるいは政治家とか…かな? 条件は処女でエロくて、
若くて可愛い。あとは提示する洋服を持参すること」
「聞いていい? 幾らくれるの?」
「100万円。1人ね」
「ええっ!? そ、そんなに!? だったら海外でも、そういった風俗って
いうか売春ルートあるんじゃないんですか?」
「知っらなーい。日本人がいいとか、指定の場所でヤリたいとか、何かあるんじゃ
ない? それに、お金持ってると海外は怖いしね」
「そっかぁ」
「あ、この駅だよ。降りるよ」
「うん」
 バッグをしっかりと持って、2人は電車を降りた。

「この辺て異常に地価の高いところだよね」
「そうね。おそらくマンション暮らしだと月に数百万はかかるんじゃない?」
「げっ、マジで?」
「例えば私達が今から行くマンション。もし住んでるんだとしたら、一番高いと
思うよ。楽しみだね」
「怖いですよ」
「そんなこと無いって。あ! ここだ!」
 さすがに高いだけあって駅から近い。
「ここって、よくテレビでも見ますよ。誰か住んでたような…」
「IT関係の社長さんかな? 事件になった人でしょ?」
「あー、そうそう」
 2人はエントランスをくぐる。
「見て。カメラが私達を見て止まったわ。怪しんでるのかな?」
「どうして?」
「だって、どう考えたって私達みたいな若い子が、こんな所に来る用事なんて
ありそうもないじゃない。住んでる人の顔は全て管理人が把握してるだろうし」
「どうするの?」
「どうもしないわ。インタホンで解錠して貰えば問題なし」
 そう言うとユキはパネルを開き、部屋番号と暗証番号を入力した。
「…はい」
 ややあって、スピーカーの奥から男の声が聞こえてきた。
「こんにちは。約束してたユキと美咲です」
「いらっしゃい。待ってたよ。どうぞ入って」
 分厚いガラスの扉が開く。緊張が増す。
「どうしよう…ドキドキしてきた」
「実は私もだよ」
「ユキちゃんが緊張してると私困る」
「えーと、なんか違うこと考えよっと」
「ふうー」
 続いて2人はエレベーターに乗り込んだ。


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