男がダイニングキッチンに入ると、エプロン姿の妻が朝食を作っているところだった。
「あらあなた、おはようございます。すぐにできますから、待っていてくださいね」
「ああ」
 男はテーブルに座ると、カバンからデジタルカメラを取り出した。そのカメラは、四角い体から、双眼鏡のような二本のレンズがVの字型に伸びている。
「パパ、ママ、おはよう……。あっパパ、なにそれ? 変なかたち〜」
 パジャマ姿の小学生の娘が、あくびをしながらダイニングキッチンに入ってきた。好奇心旺盛な年頃の娘は目を輝かせ、さっそく男の持っているカメラに興味をしめした。
「おもしろいカメラだろう。昨日会社帰りに買ってきたんだ。
 今日はおまえの小学校の運動会だからな。体育だけは得意な娘の晴れの姿を、このカメラで残してやろうとおもってな」
「え? それカメラなの? やだー。こんなダサいカメラのモデルにされたら、クラスのみんなに笑われちゃうよ」
「あなた、またむだづかいをして」
 妻がふりむいて、ぬれた手をエプロンで拭きながらいった。
「ためしに一枚撮ってみるぞ。おまえたち、そこにならべ」
 男は立ち上がった。
「ちょっとあなた、まだ朝食の準備をしている途中なのに」
「そんなダサいカメラで撮られるの、いやだなあ」
 ぐちを言うふたりをなだめながら、男は妻と娘をダイニングキッチンの壁に立たせた。カメラを構え、ふたりを左右に別れたレンズに入るように間をひらいて並ばせた。
 シャッターをきる。
 その時、信じられないような出来事がおこった。
 シャッターをきる電子音に合わせて、カメラの画面に映るふたりの服が替わったのだ。娘が妻の服を、妻が娘の服を、瞬時にして交換していた。しかもそのサイズも、あつらえたかのように大きくなったり小さくなったりしていた。
 男はあわててカメラの画面から目を離してふたりを見た。やはり服が替わっている。しかも、当の彼女たちは、服が替わったことに気がついていないようすだった。
 男は信じられない思いだった。しかし、事実として、目の前のふたりの服はお互いに交換されている。
 男は子供のころに読んだ漫画「ドラえもん」を思い出していた。ドラえもんが出すひみつ道具に「きせかえカメラ」というのがあり、そのカメラで写すと、被写体の服を瞬時に着替えさせることができるという道具だった。
(このカメラはその類似品で、互いの服を交換させるカメラなのだろうか。
「ドラえもん」は漫画だ。漫画だからドラえもんの出す道具も架空のものだ。しかしこのカメラは架空でもなんでもなく、いま俺の手の中にある。
 あるいは、何者かが「ドラえもん」を読んで、俺のような凡人では想像もつかないような技術を駆使して造った物なのかも知れない。
 まさかとは思うが、本当に未来の道具だったりしてな)
 そんなことを、男はおもっていた。
(信じがたい話だが、服が交換されるだけというのならば、重大な危害はなさそうだ。
 これは面白いカメラを手に入れたぞ)
 と、男はほくそ笑む。
 年甲斐(としがい)もなく、いたずらに使えそうだと子供のような思案をめぐらせていた。
 ところが男のにやにやとした表情も、ふたりの口にした言葉で凍り付くこととなる。
「あなた? どうしたの」
 と、《娘》がいった。
「パパ?」
 と、《妻》がいった。
 妻と娘の、男への呼び方が入れ替わっていた。
 いったい何がおきたのか、男にはわからなかった。
 わかるのは、このカメラで写したために、ふたりに何かしらの変化がおこっているということだった。
 カメラのシャッターを押した後、驚いたり、考え込んだり、ニヤニヤ笑ったり、ふたたび驚いたりと、めまぐるしく百面相をする男を見ていた妻と娘が、彼を心配そうに見つめている。
(落ち着け、こういうときは、とにかく落ち着くんだ……)
 男は自分に言い聞かせた。
 男は頭を整理する時間をかせぐために、適当ないいわけをした。
「いや、大丈夫だ。心配しなくてもいい。会社でいろいろあって、ちょっと疲れているんだ」
「そう? あなた、あまり無理をなさらないでね」
 娘はそう言うと、朝食を作りに調理台(シンク)に向かった。いつも妻がしているエプロンも、小学生の娘の体に合わせて小さくなっている。
(一体なにが起こっているんだ。もしかして、このカメラの仕業で、ふたりは服だけではなく、精神までもが入れ替わってしまったのだろうか。
 しかも、服が替わり、精神まで入れ替わったというのに、ふたりともその変化に気がついていない)
 そんなことがあるだろうか、と男は思った。
(さきほどドラえもんの道具にたとえたが、ドラえもんは漫画だ。よくよく考えれば、そんなカメラが現実にあるはずがない。
 つまりこれは、幻覚か。さっきふたりにいった「疲れている」という言葉はとっさのいいわけだったが、ほんとうに疲れているのかも知れないな)
 男はテーブルに座ると、おいてある新聞を読んだ。新聞の内容はまったく頭に入らない。
 娘が朝食の調理の続きを、妻の代わりにしている。料理などホットケーキくらいしか作ったことのないはずの娘が、鼻歌など歌いながら、慣れた手つきで朝食を作っている。その鼻歌も、妻が好きな歌い手の曲だった。
 しばらくして 食卓に朝食が並びはじめる。並んでいる品はどれも妻が作っている物と同じだった。たべてみると味付けも妻の物にそっくりだった。
 妻と娘が入れ替わっていることを除(のぞ)けば、すべてがいつもの日常だった。
 妻と娘が朝食を食べおわるのを見はからって、男はいった。
「すまんが、さっきのように並んではくれないか。もう一度試し撮りをしてみたいんだ」
「だから、そのカメラは運動会には持ってこないでって言っているでしょう?」
 妻がふてくされる。
「わかってるわかってる。これは運動会にはもっていかない。
 だから、協力してくれよ。なにしろ買ったばかりのカメラだからな。もっと写してみたいんだ。おまえだって、何か新しい物を買ったら、使ってみたいだろう」
「その気持ちはわかるけれど」
 男の考えはこうだった。
 ふたりが入れ替わった元凶は、あのカメラで写したことにある。ならば、ふたたびカメラで撮影すれば、ふたりはもとにもどるはずだ。
 男は娘と妻をなだめながら並ばせると、さきほどと同じようにカメラで撮った。
 しかし、なんどシャッターを押しても、二人は元に戻らなかった。
 やがて妻が、「パパ、いい加減にしてよ、運動会に遅刻しちゃうじゃない!」と言い残して子供部屋にもどってしまっために、撮影会は終了となった。
 娘も食べおわった食器をまとめると調理台に行ってしまう。
 ダイニングキッチンにひとり残された男は、テーブルに座って不思議なカメラを見つめながら、昨日の会社帰りのことを回顧しはじめた。



   娘を嫁にしたことありますか?
   作・JuJu



 通勤電車のドアが開き、男は駅のホームに降りた。乗客を降ろした電車はあわただしく走りだし、ホームに風を巻きおこす。男はおもわず身を縮こまらせた。秋の大気は、彼が会社から帰るこの時間には肌を刺すほど冷たくなっていた。
 駅の改札を抜けると、男はいちど寒さに立ち止まった後、早足で歩き出す。男は帰宅の足をはやめながら駅のガード下のわきを歩いた。そこには会社帰りのサラリーマンを相手にした露店がいくつか並んでいる。
 男は寒さに耐えるように、足元を見ながら歩いた。うつむいて歩いていたために、自然と露店に並べられている品々が目にうつる。
 ふと、男の目にデジタルカメラがはいった。立ち止まって店の者に視点を移すと、年老いた男が地べたに小さなイスを置いて腰を下ろしている。老人の前にある低くてやや大きなテーブルには、骨董品やら古い人形やら、まるでテーブルの上だけが、時間を超越して現代にあらわれたような年代物ばかりがならんでいる。そんなふるぼけた品が並ぶ中でただひとつだけ、現代の品であるデジタルカメラが、あやまって未来の世界からまぎれ込んでしまったかのように置いてあった。
「そういえば、明日の日曜日は娘の運動会だったな。予備のカメラがあってもいいかもしれんな」
 彼は最新型のビデオカメラを持っていて、明日はそのビデオカメラで娘を撮るつもりだった。ここで露店に置かれたデジタルカメラを買ったところで、あしたの運動会での出番などはないだろう。つまり娘のためというのは、カメラに興味を持った自分へのいいわけにすぎなかった。
 彼がこのカメラに興味を持った理由は、その不格好なデザインだった。四角いカメラの本体から、小さなレンズが双眼鏡のように二股に別れて伸びている。なぜ、レンズが二本もあるのか。彼はその点に惹かれた。
「ほう。その品がお気に召したか」
 老人が頬をゆるめる。しわの寄った目から見つめる瞳は子供のようで、まるでいたずらっ子のものだった。
「まずは、手に取って確かめるがいい」
 男は言われるがままにカメラを手にした。カメラの背面には、被写体を映しだす小さな画面が左右にひとつずつ並んでいた。男が指で電源のスイッチを入れると、その画面が明るく輝いた。双眼鏡のレンズがとらえた背景が、左右それぞれの画面に映っている。
 試しに店の主人に向けたが、主人の姿は映らなかった。その替わり、店の右斜め前と、左斜め前が映っている。
 つまり、真正面だけは映らず、右斜め正面と左斜め正面が一度に撮れるカメラというわけだ。
「めずらしいだろう。ここにある品々はどれもこれも、わしが世界中から探しだした、この世にふたつとない逸品ばかりだ。ほんらいならば値(ね)などつけられない品ばかりなのだが……。わしもこの歳だ、いつお迎えが来るかわからん。わしには身よりがない。死ねば、これらの品々は、価値の解らんやつらにガラクタとして捨てられてしまうだろう。だから価値が分かる者に、こうして捨て値で譲り渡している」
 老人はそこまでいうと真顔になって、「物と人は引き合うものだ。お主がこの品に惹かれたと言うのならば、それはこの物がお主を新しい持ち主と認めたからだ」といった。
 店主のうさんくさい売り文句に、男はとんだガラクタをつかまされたとおもった。何が『世界中から探しだした、この世にふたつとない逸品』だ。ただ左右が同時に写せるだけのくだらないカメラではないか。値札に書かれている数字だってそれほど安くもない。ところが老人がいうように、ふしぎとこの奇妙なカメラに惹かれる物を感じるのも確かだった。男はしばらく悩んでいたが、やがてふところから財布を取り出すと、値札に書いてある額を払った。
「いまから、そのカメラはお主の物だ」
 老人はふたたびいたずらっ子っぽい瞳をさせた。そしてその瞳で、去っていく男の背をいつまでも見つめつづけた。

    *

 男はダイニングキッチンでカメラを見つめながら、昨日の晩に見た、露店の店主のいたずらっ子のような瞳を思い出していた。
「いってきまーす」
 その時、妻の声がした。
 男が我に返り、声が聞こえたほうを見ると、妻がダイニングキッチンの開いた戸から体をのぞかせていた。赤いランドセルを背負い、学校指定の制服であるセーラー服を着ていた。そのセーラー服も、妻の体型に合わせて大きなものになっている。
「パパ、ぜったいに応援に来てね!」
「ああ……、いってらっしゃい……」
 男の頭の中は、妻と娘を入れ替えてしまったことで一杯になっていた。そのために、家の外に出ていこうとする妻を見過ごし、そのまま送り出してしまった。
 しばらくして、男は叫んだ。
「!! いかん! 家の中ならまだしも、その姿で外に出るのは非常にまずい!!」
 三十もなかばの女性が、セーラー服を着て、ランドセルを背負い、小学校に向かって登校しているのだ。周囲の人間からみれば、変人と取られても仕方がない行為だった。
 あわてた男は、妻を追って外に出た。
 娘の通学路を全力で走る。
 さいわい、妻はまだ家を出たばかりだったため、その姿はすぐに見つかった。
「おー……い……」
 足をとめた男は、大声で妻を呼び止めようとした。が、全力で走ったために日頃の運動不足がたたってしまい、息が切れて声が出なかった。
 そんな男をわきを、娘と同じくらいの年の、ランドセルを背負った男の子が追い抜いていった。
 男の子は妻の背後から走り寄ると、彼女のスカートをまくりあげた。
「やった! クマさんのバックプリントパンツ!!」
 男の子がいった。
「キャッ! あっ、山田くん! またスカートをめくって!」
 腰に手を当てて怒る妻を横目に、男の子は学校に向かって走り去ってしまった。
 男は俺の嫁になんてことをするんだと怒鳴ろうとしたが、同時にあることに気がついた。
(確かにあの男の子は、妻のことを娘としてあつかっていた。
 もしかして、妻のことは、周囲の人には娘に見えるのか? 
 そういえば、まだ家から出たばかりとはいえ、それなりに人目がある。それなのに誰一人、ランドセルを背負って小学校に向かう妻の姿を見て、疑問に思っているような表情を見せてたものはいない)
 その状況から男は、自分以外の者には妻が娘に映ることを確信した。
「あっ、パパ? もう来たの? 運動会はまだはじまっていないよ」
 男の姿に気がついた妻が言った。
「い、いや、その……。
 おまえの活躍が見たくて、いても立ってもいられなくなってしまってな。だが、おまえの言うとおりまだ早すぎたようだな。ビデオカメラも家に置いたままだし。いったん家にもどって出直すことにしよう。ははは……」
「へんなパパ」
 家にもどる男の背中を見ながら、妻はあきれた顔をしながらいった。

    *

 小学校の運動会が始まった。
「パパ、あたしの活躍、いっぱい撮ってね」
 ブルマー姿の妻がいう。
 三十代の女性が、小学生に混じって競争をしていても、誰一人疑問に思う者はいない。
 男は妻の姿をビデオカメラで追った。娘はまだブラジャーをつけていなかった。そのため、娘になっている妻もブラジャーをつけてはいない。そのノーブラの妻が、ブルマーをはいて、むじゃきに走り回っている。彼女が走ったり飛んだりするたびに、大きな胸が揺れる。ブルマーからは、肉感的な脚が伸びている。
 しかし、そんなことに注目する者は誰もいなかった。もしも妻の姿に興奮するとしたら、それはロリコンと呼ばれる性癖を持つものだけだろう。彼以外の者には、妻は小学生の女の子にしか見えないのだから。
 自分の妻がセーラー服を着て、ランドセルを背負って、小学校に通う。さらに、ブルマー姿になり、小学生にまじって運動会に出ている。娘の前で、町中で、小学校で、これほどの大衆の前で、妻は恥ずかしがる素振りさえみせずに、変態のような行為をしている。
 そんな異常な事態に、男は病的な興奮を覚えつつあった。男はいつのまにか、夢中になって妻の痴態をビデオカメラに収めていた。
 そんな妻の痴態を夢中になって記録する男の姿も、周囲の者には娘の晴れ舞台を撮っている親ばかな父親にしか映らなかった。

    *

 夜の十時になり、妻は眠たそうな目をしていた。それを見た娘が、目をこする妻を子供部屋に送る。
 男はいまさらながら、母と娘の立場がまったく逆転していると感じた。
 妻を寝かしつけた娘は、「わたしたちも寝ましょうか」と男を寝室にさそった。
 ふたりはパジャマ姿に着替えた。男は娘の着替える姿を見ないように、背を向けて着替えた。
 寝室には、男と妻のベッドが並んでいた。
 男がベッドに入ろうとすると、娘が男のベッドのそばに立った。上目遣いで夜のいとなみのおねだりをはじめる。
「ね。今夜は、お願い」
「ば、ばかいいなさい。近親相姦のようなまねができるわけが……」
「近親相姦?」
 父親として、それだけは絶対に避けなければならない。そう考えて断ったのだが、娘はそれを苦しい言い訳だとおもったらしい。
「あなた。娘に運動会につきあわされて疲れているのは分かるけれど、そんなごまかしじゃ通用しないわよ」
 そういうと、娘は強引に男のパジャマのズボンとパンツを脱がすと、股間に顔をうずめた。
 妻は小学生の小さな手で陰茎をつかむと、先端をていねいにしゃぶりはじめた。その舌使いは、妻のものそのものだった。
 陰茎が刺激を受け、固く大きくなったことを見て知ると、娘は小さい口を精いっぱいこじ開けて、男のものをくわえた。口の中に押し込み、ついには男のモノを喉の奥まで飲み込んでしまった。
 さらに娘は喉を使って、怒張した男のモノを強く締めあげる。喉の奥の肉襞をこすりつけられる快感が男を襲う。
 これは妻の必殺技だった。
 たいていの者は喉の奥を突かれれば、痛みや激しい吐き気に襲われ堪えられるものではない。ましてやその状態で自分から喉を締めつけるなど、とてもできやしない。それを、妻は平然とやってのけていた。もともと才能もあったのだろうが、今日のように、男が乗り気ではないときに、男をその気にさせるために、夜のいとなみの中で妻が収得した高等技術だった。
 激しい快感に、心では拒否しても、男の体は反応してしまう。しかも今日の相手は、血の繋がった、大切なたったひとりの自分の娘なのだ。娘を妻として、夫婦の夜のいとなみをしている。その背徳感が、いやがおうでも男をますます興奮させた。
 妻の喉とは違う極端な狭さは、男のモノを締め上げ、新たな快感を目覚めさせた。
 男はたまらず、娘の喉の奥に精液をぶちまける。
 精液を見たこともないはずの娘が、いつもの妻のように飲み込んだ。
 娘は男の一物から口を離すと、ベッドの上でひざ立ちになってパジャマを脱ぎはじめた。下着も、娘の体型に合わせてサイズの変更がされていた。ふくらみのないまったいらな娘の胸を、大人の雰囲気を醸し出した色っぽいブラジャーがおおっている。
 そのブラもショーツも脱ぎ捨てると、娘はその小さな体で、あお向けに寝ている男の上にまたがる。小さな手で、男のモノをつかみ、自分の股間にみちびいた。
 男は娘の秘所を見た。そこは小学生の子供のモノで、まだ茂みも生えてはおらず、一本のスジのようなものがあるだけだった。どうみても怒張した大人の男のモノが入るとは思えない。
 しかし娘は男の心配などよそに、自分の秘所に男の陰茎をあてがうと、ゆっくりと腰を落とした。
 処女で、しかも子供のモノだ。ほとんど濡れてもいない。これでは入るはずがない。おそらく先端を入れたところで、痛くて我慢ができずにやめるだろう。
 男がそうたかをくくっていると、娘は腰を落として男のモノを飲み込ませていく。処女の証である血が、ふたりの繋がっている部分ににじみ出した。
(娘の処女をうばってしまった)
 男は心の中で叫んだ。
 娘は処女を失ったことなど気にとめるそぶりもなく、さらに男の陰茎を自分の体内に押し込んでゆく。
 それでもやはり、小学生の子供の秘肉だった。半分ほど入れたところで奥にあたってしまう。
 膣の奥まで男のモノが入ったことを知ると、娘は腰を上下に動かしはじめた。
「あ……ううん……。あなた……」
 よがるしぐさは、妻のものだった。娘ははじめての性交を、いままで十何年も夫婦の夜のいとなみをしてきたようにふるまっている。
 小学生の娘が熟女のようなはしたない喘ぎ声をあげる姿に心を奪われ、さらに子供の膣の中は小さくて狭く、その締め上げる快感に、男はいつのまにか、娘との近親相姦という禁断の天国に酔いしれていた。

    *

 男が目が覚めたときには、窓から陽(ひ)が射していた。時計を見るとすでに朝だった。
 あまりに刺激的な狂宴の夜に、夢中になり、快楽をむさぼり、その後いつのまにか眠ってしまったのだ。
 娘はすでに朝食を作りに行ったらしく、ベッドは男一人だけになっていた。
 男は娘を追ってダイニングキッチンに向かった。
「お、おまえ!?」
「どうしたの、大声を出して」
 ダイニングキッチンで朝食の支度をしていたのは、娘ではなく妻の方だった。
「お、おまえ! 元に戻ったのか!?」
「パパ、朝からうるさーい……」
 振り向くと、パジャマ姿の娘が眠そうに目をこすっている。
(そうか。時間がたてば入れ替わったふたりは元に戻るのか。
 それに、本人たちは、入れ替わっていたことは気がついていないらしい)
 男は状況を理解した。
 そしておもった。 
(元に戻らなかったらどうしようかと不安だったのだが、どうやら取り越し苦労だったようだな)
 男は安堵の息を吐くと、テーブルについた。

    *

 朝食をおえた男は、もういちど娘になった妻の姿が見たいと思い、自室に戻ると昨日撮った運動会のビデオを再生した。男はすでに、娘になった妻の姿を忘れられなくなっていたのだ。
 ところが、再生されたビデオには妻の姿はなく、代わりに娘が走りまわる姿が撮影されていた。どうやらカメラの効力がなくなってしまうと、写真などの記録した物も元に戻ってしまうらしい。
 男はすこし肩を落としたが、すぐに気を持ち直した。
 なにしろ例のカメラがあれば、またいつでも妻と娘の立場を交換することが出来るのだ。
 男は、近い内にふたたび妻と娘の立場を交換させようとおもった。そんな彼の目は、まるでいたずらっ子のような瞳をしていた。

(了)



   ☆   ☆   ☆



【あとがき】


■こんにちは、みなさま! JuJuでありますです、わふー。
 このたびは「娘を嫁にしたことありますか?」を最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。


■TS解体新書さん! このたびは、「TS解体新書」の開設10周年、おめでとうございます!

 短期間で制作した作品ではございますが、「開設10周年企画」に投稿させていただきます。


■今回は〆切がとても短くてキツかったです。
 そしてどうして、〆切がきつい時にほど、ソリティア(スパイダソリティアがお気に入り)に手が出てしまうんだろう。あたしって、ほんとうにバカ‥‥。
 そしてそして、どうしてこういうときにやるソリティアって、こんなにも面白いのだろう。
 ヘルプもろくに読まなくて、「カードを配る」をするたびに、上の方にあるメニューが並んでいる所の「カードを配る」を、「めんどくさいなあ」と思いながらクリックしていたのはナイショです。(最近知ったのですが、下の方にある得点の描かれた大きなフィールドをクリックすればカードが配られるのですね)
 それ以上に、「カードを配る」とき、ついダブルクリックしてしまうクセはどうにかしたいです。(カードが一度に二枚配られてしまい、ゲームがだいなし。が‥がお)


■そんなこんなで、次回作「ゆすら荘のペットな彼女」でまたお会いしましょう!
 それでは、みなさま、チャオ!
 スカイハイ!!



                 ――JuJu拝



☆☆☆ クランクアップ! 2013年02月25日 ☆☆☆




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