登校中の出来事
 作:奈香乃屋載叶


「いってきます!」

 小学生の弘太はいつものように学校に行くために家を出ていった。
 学校までは10分程。
 ずっと通ってきて慣れているから、そんなに遠く感じたことはないという。
 今日も同じように歩いていった。

「ねえ」

 そんな時、彼の後ろで少女の声が。
 弘太が振り返ると、2人の近くの高校の制服を着ている女子高生が。
 彼は彼女らのことを知らないので、何故声を掛けられたのかが分からなかった。

「僕のこと?」

「うん」

 すると、髪が長い方の女子高生の姿が変化していく。
 身長が小さくなっていって、弘太と同じくらいになっていき、髪もショートカットと呼べるよりも短くなっていった。
 しかも胸が平たくなり、体つきも小学生の男の子くらいに。

「どうなっているの……!?」

 さらには服が弘太と同じものに。
 ランドセルも背中に背負われている。
 そこには、弘太と瓜二つの男の子が立っていた。

「うん、いいね!」

 女子高生だった男の子は身体を見回して気に入ったような表情をしている。
 しかも喋り方は弘太にそっくりだ。

「なんで僕になっているの!?」

 驚くしか無い弘太。
 すると髪の短い女子高生が弘太に近づいて、彼の頭を撫でた。

「あれ……」

 その途端、弘太の身体に異変が。
 小さかった身体が大きくなっていって、女子高生と同じくらいになっていく。しかも腕や脚は長くほっそりとしたものに。
 髪は勢い良く伸びていって、さらさらとした黒髪ロングヘアに。

「うわっ!?」

 しかも、胸は膨らんでいってスイカみたいな大きなものに。
 触ってみると柔らかくなっている。
 お尻も形のいいものになり、脚が内股に。
 顔つきは小さめの整ったものに。
 目はぱっちりとした大きなものへとなり、唇はぷるるんとしたみずみずしいものへ。

「僕、女の子に……」

 股間のものが男の子が持っているものから、女の子のものへと変化をして、完全に女の子へとなったことを示した。
 そして変化は服にも。

「ひゃっ……」

 今や体に合っていない子供服が伸びて体に合ったものになったかと思うと、服が形を変えて、青いスカーフがついたセーラー服と、青いプリーツスカートになった。
 下着も女性用のパンティーやブラジャーがあてがわれる。
 背中の黒いランドセルが手提げかばんに変化する。
 その姿は女子高生そのものであった。

「ううっ……戻してよ……」

 女子高校生になってしまった弘太は、呆然としながら立っていた。
 声は少女のものだ。
 すると髪の短い女子高生は頭を突く。

「あれ?私……」

 突かれたことによって弘太は記憶などがかわってしまったみたいで、女子高生みたいな仕草をしている。
 喋り方まで変わっている。

「どうしたの弘美?」

「あっ、菜々」

 菜々と呼ぶ髪の短い女子高生は、弘太を弘美と呼んだ。
 どうやらそれが新しい名前のようである。

「お姉ちゃん達大丈夫?」

「ええ……弘太くん、大丈夫だから」

「良かった!」

 心配する男の子に弘美は安心させるために笑顔を見せる。
 それで嬉しくなった男の子は小学校へと歩いていった。

「じゃあ行きましょ!」

「うん!」

 弘美と菜々は高校へと向かっていった。




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