フュジティブ

 作:無名



第2章


夜。

「そうか…3人とも、いつも通りか…」
父の孝彦は難しい顔をして呟いた。

「−−−使われた憑依薬の成分を特殊な研究施設で解析したんだが、
 やはり、長距離、霊体のまま移動することは困難だ。
 つまりは、あの3人の誰かに座間は憑依している」

孝彦がそこまで言うと、
少しだけ微笑んだ。

「−−−いつも、すまんな…
 何かと俺の仕事で協力してもらって」

「いや、そんなことないよ。
 父さんは僕の誇りだからさ。
 力になれることがあったら、何でも協力するよ」

龍平が言うと、
孝彦は嬉しそうに頷いた。

「−−だが、無理はするな。
 怪しい子を見つけても、お前は何もするな。
 俺に報告してくれればそれでいい」

父は言う。

相手は凶悪犯罪者の座間だ。
体は女子高生でも、中身は座間なのだ。

何をされるか分からない。


「−−分かったよ、父さん」


…。

部屋に戻った龍平は、ベットに寝転びながら思う。

3人ともー
”いつも通り”だった。

おしゃれ好きのお嬢様、美香は
「喉が痛い」と言っていた…。

アウトドア派の活発少女、淳子は
「寝不足でぼーっしている」と言っていた。

生徒会の由香里は、
残酷な描写で話題の小説を楽しそうに読んでいた。


ーー無理矢理、ひっかかる部分を探すとすれば
そのぐらいだろうか。


「はぁ〜あ、父さんの力になりたいけど、
 分かんないな…」

困った様子で、龍平は部屋の天井を見つめた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・

とある女子高生の部屋…。

「くくく…だ〜れも、わたしが憑依されたなんて
 こと気づいてない!所詮人は見た目ね!うふふ…」

少女は、ミニスカート姿で、鏡の前に立ち、微笑んでいた。


「あぁん…」
自分の胸を触り、声を出す少女

「あぁっ…あん♪ あぁぁん♪」
一人、部屋で嬉しそうに喘ぐ少女。

「わたし、、普段、こんなこと絶対しないのに!
 今のわたしは、、うふふっ♪
 凶悪犯罪者のおもちゃなのっ!うふふふふふふ!」

より激しく手を動かし、
握り締めるように胸を弄ぶ。

「あははっ♪ あはっ♪
 あはははははははっ!あはははははははははは!」

狂ったように笑い続ける少女。

ミニスカートから覗く太ももには、
既に液体が垂れ流れてきていた。

少女の意思など関係ない。

憑依した凶悪犯罪者・座間の意思に従って
少女の体は快感を感じていた。
体は快感を受け入れ、喜んでいた。


「あぁあぁあっ♪ あぁああああん♪」

さらに激しくなっていく行為。

少女の尊厳は、
徹底的に踏みにじられていたーー


・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

龍平はとりあえず、
一人ひとりにターゲットを絞って、1日中観察してみることにした。

「成りすませるって言っても、どこかでボロを出すかもしれないし」
龍平は一人呟く。

「・・・無理しないでね…」
彼女の彩香は心配そうに呟いた。


「−−大丈夫だって!
 憑依されているのが誰か分かったら、あとは父さんにバトンタッチ
 するからさ!」

龍平は笑った。

今日はーー
生徒会の優等生、由香里を1日探ってみることにした。


いつも通り、机で優しく微笑みながら本を読んでいる。


龍平はわざと前を通り、
由香里が何の本を読んでいるか確認した。


「”バラバラ狂想曲”」

人がバラバラにされる事件を描いた
これまた残酷な小説だった。

うっすら笑みを浮かべながらそれを読む由香里。


「−−−−…」
龍平は決意する。

”聞いてみよう”と。


龍平は、どこかで由香里に”珍しい本を読むね”と
聞きたい気持ちを抑えていた。

もしも、由香里が凶悪犯罪者に憑依されているなら、
それで豹変するかもしれないからだ。

どこかで、恐れていた。

けれどー。
逃げていたら、何も始まらない。


昼休み。

図書室を訪れた龍平は、由香里のところへ向かっていき、
話しかけた。

「−−−あのさ…
 清水さんって…結構読んでいる本にギャップあるよね…」

本を指差しながら言う龍平。

もしも、由香里が凶悪犯罪者の座間に憑依されているならー、
急に本性を現すかもしれない。


「−−−−ふふっ…」
由香里が笑った。

身構える龍平。

しかしー。

「−−わたしね、色々なジャンルの本を読むことにしてるの。
 こういうジャンル、元々苦手なんだけど、
 でも、本って、嫌いなジャンルでもね、
 いろいろと得るものがあるの。

 なんていうのかな…?
 普段、自分が決して味わうことのできない世界を
 文章を通して体験できる…
 そんな感じ?」

本について語りだす由香里。

ポカーンとした龍平を見て
由香里は笑った。

「あ、ごめんごめん、
 本のことになると熱くなっちゃうの!
 悪いクセだよね!」

龍平は、
由香里を少し疑っていたが、
”やっぱり違うかもしれない”と考え直す。

だがー
龍平は勇気を出してもう一歩踏み込んだ。


「−−あの…でも、別に見てたわけじゃないんだけど、
 その本読みながら、清水さん、笑ってたよね・・・?
 だからそういうジャンル好きなのかな…って!」

そういうと、由香里は首を振った。

「ふふふ…見て」
由香里が本の1ページを見せてくる。


「こういう小説にもね、
 ときどき笑わせてくれるようなシーンもあるの。

 タイトルとあらすじだけ見るとただ残酷な小説に
 見えるかもしれないけど、
 外からじゃ分からない1面もあるんだよ」

微笑む由香里。

確かに、そのページは小説のタイトルからは想像も出来ないような
微笑ましいシーンが描かれていた。


龍平は、由香里に「くだらない話してごめん」とお詫びをし、
そのまま図書室を立ち去った。

「−−−清水さんじゃないとすると…」

残りは2人。
スポーツ好きの淳子。
お嬢様育ちの美香。

「−−−でもなぁ…」

龍平は困り果てた様子で呟いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後。

少女は洋服店に居た。

「ふふふ…
 今の私は”女の子”だから、
 こういう可愛い服をかっても、
 エロい服を買っても、誰も不審に思わない」

少女が表情を歪めながら、
エロい服を次々とカゴに入れていく。

「−−わたし、貯金してたみたいだけど
 そんなのもうどうでもいいや!
 うふふふっ!」

少女は不気味に笑うと、
男を誘惑するような服を大量にカゴに入れて
レジへと向かった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

「−−今日は、竹内さんの様子を観察しようかな…」
龍平はそう呟きながら思う。

やっぱり、憑依なんて非現実的なこと、
あり得ないんじゃないか、と。


その日、1日中、お嬢様育ちの美香を観察
していたが、特に変わった様子はなかった。

「−−−大丈夫?疲れた顔してるよ?」
彼女の彩香が言う。

龍平は無理やり笑みを作って微笑んだ。

「大丈夫。父さんのためだから」

その言葉を聞くと、彩香は微笑んで、
先に教室から出て行った。

一緒に帰る事も多いが、彩香はバイトもしていて、
バイトの日はいつも先に帰っていく。


「−−−さて、僕も帰ろうかな」

龍平が呟くと、
背後から「ねぇ」と声をかけられた。

龍平が振り向くと、
お嬢様育ちの美香が龍平を睨んでいた。

「−−−今日、あたしのことジロジロ見てたでしょ?」
美香の言葉に龍平は顔を赤らめる。

「え…?いや、いや違う、みてないよ!」
龍平が慌てて言うと、
美香が不快そうな表情で
「赤くなってるよ…カオ…」と呆れた声を出す。

「−−−ご、ごめん…」
龍平は美香を見ていたことを認めて謝った。


「…あのさぁ…何が目的か知らないけどさ、
 キモいからやめてくれる?

 あたしのこと好きなのかもしれないけど、
 あたし、アンタに興味ないし!

 っつーか、彼女いるんじゃんアンタ!」

好き放題言う美香。

龍平は心の中で「僕こそ恋愛感情は全くないよ」
と呟いた。


「−−−気を悪くしたならごめん」
龍平が頭を下げると、
美香は「あ〜キモい!」言いながら教室から出ていった。


「・・・・・」
不機嫌そうに立ち去る美香の後姿を見ながら龍平は
困った表情を浮かべた。。


「参ったな…」
龍平は”父さんの勘違いなんじゃないか”

そうも思い始めていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「くくく…馬鹿なやつ!」
少女は、物陰から龍平の姿を見て邪悪に微笑んだ。

自分の胸を触りながら
涎を垂らしている少女に、普段の面影はない。

「ぐふふふふふっ…
 記憶があれば、だれもわたしのことを
 わたしじゃないだなんて思わない…

 んふふっ…
 わたし、凶悪犯罪者に憑依されちゃってるのに、
 誰にも気づいてもらえない…」


悲しいことのはずなのに、
表情を歪めて笑う少女。

「−−−あははっ…
 哀れな女!あはははははっ!あははははははははははっ!!」

少女は放課後の誰も居ない教室で、一人笑い続けた…。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

龍平は諦め気味ながらも、
父のため、
スポーツ好き少女・淳子の様子を見張っていた。


昼休み。
テニスを楽しんでいる淳子のことを見ていると、
淳子が、駆け寄ってきた。

「お勤めご苦労様です!」
淳子がふざけて敬礼しながら笑う。

「−−−あ、え?う、うん」
龍平はふと思う。

女子の監視なんて、これじゃ変態じゃないか。

ーーと。


「私のこと、何か探ってるでしょ〜?」
淳子が笑いながら、水筒の水を飲む。

「−−え、、いやぁ…別に」
龍平がそう言うと、淳子は呆れた様子で笑う。

「いいよ、隠さなくても。
 この前なんか”変わったことない?”って聞いてきたよね?
 
 それと関係あるんじゃないの?

 それともなに?
 テニスに興味出てきた?」

笑いながらラケットを振るポーズをとる淳子。


「−−え、、いや、、ごめん。。
 ちょっと気になることがあってさ…。

 小笠原さんだけに対してってわけじゃないんだけどね・・・」

龍平が言うと、
淳子は笑いながら頷く。

「ふ〜ん、
 テニスに興味持ってくれたわけじゃないのね!
 ざ〜んねん!」

そう言うと、淳子は再びテニスコートのほうに向かう。

ショートヘアーをなびかせながら、
淳子は振り向いて、龍平に言った。

「−−頑張ってね〜未来のおまわりさん!」
ふざけた様子で敬礼すると、
淳子はテニスコートに入っていった。


「…はは、僕…警察官にはならないけどね」
龍平は寂しげに呟いた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜。

父の孝彦と情報交換をした龍平。

「…3人とも、特に変わった様子はないんだよな〜」
龍平が、晩御飯のカレーライスを口に運びながら言う。

父の孝彦は水を飲みながら険しい表情で呟く。

「−−−座間のことだ。
 3人のうちの”誰か”に成りすましているのは
 間違えない。」


コップを置くと、孝彦は続けた。

「−−そのまま、その子に”成りすまして”
 その子の人生を奪い取るつもりかもしれないな…」

孝彦はそう言うと、
頭をかいてから、とあるモノを取り出した。

「−−少々、強引ではあるが…」

父の孝彦が机の上に「USBメモリ」を置いた。


「−−−これは?」
龍平が尋ねると、
父は言った。

「−−−このUSBメモリーの中には、
 ”座間を逮捕できる手がかり”が記録されている。
 −−それを、お前に預ける」

「えっ…えぇ??いいの…?」

龍平は驚いて聞き返す。

すると、父は笑った。

「はは、冗談だよ。
 そのUSBメモリーの中身はどうでも良いデータばかりだ。」

孝彦の嘘に、龍平は呆れた様子で返事をする

「何だよ父さん、びっくりさせないでよ」


そう言うと、孝彦は「悪い悪い」と微笑んだあとに、
真顔になって続けた。

「龍平。
 明日、学校にそれを持っていけ。
 で、さりげなくクラスメイト全員に聞こえるように、
 ”逃走中の凶悪犯罪者を逮捕できる手がかりが入ったメモリーを
 預かった” と言うんだ。

 そしたら、USBメモリを机にでも入れておけ。
 座間が憑依している女子高生は、必ず焦ってUSBを
 取りにくるはずだ」

凶悪犯罪者の座間は”異常なほどに慎重な男”だ。
それゆえに、もし龍平が学校に”座間逮捕の証拠”が入ったUSBを
持って行けば”嘘”だと疑ったとしても、
それを必ず奪い取るに違いない、と、

孝彦はそう思っていた。


しばらくの沈黙ののち、息子の龍平は
「つまり、罠をはるってこと?」と尋ねた。

孝彦は頷いてから
「−−−危険な仕事だが…頼めるか?
 俺は…座間を逮捕したい。
 そして…憑依された子を救いたい」


孝彦の力強い言葉に龍平も頷いた。

「−−うん。任せてよ。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。


龍平と彼女の彩香は一緒に登校していた。
いつもよく、途中の道で彩香と合流して、共に
学校に向かうことが多い。

「−−憑依なんて、本当にあるのかなぁ…」
龍平が言う。

別に、父を疑っているわけではない。

でも、その存在が信じられないのだ。


「−−どうだろうね…」
彩香も困惑した様子で言う。

「−−でも、もしも本当に憑依があるのだとしたら、
 清水さんか、小笠原さんか、竹内さん、
 3人の誰かが、今も好き勝手にされてるってことになる…」

龍平の言葉を真剣な表情で聞く彩香。

「だとしたらやっぱり、
 助けないといけない…」

龍平は、父から預かったUSBメモリーを手に意を決する。

「僕は、今日、憑依されてるのが誰か、
 突き止めて見せるよ」

龍平の決意のまなざしに、
彩香は優しく微笑んだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

登校した龍平は、
彩香に協力してもらい、
わざと大声でUSBメモリーのことを話した。

「今日父さんから大事なもの預かっちゃってさ〜

 ほら、これ見て。
 なんか、今、逃亡中の犯罪者を確実に逮捕するための
 証拠が入っているUSBメモリーなんだってさ」

龍平が言うと、綾香が尋ねる。

「そんなもの持ってきて大丈夫なの?」

龍平が答える。

「大丈夫大丈夫!
 父さんもいろいろ事情があるみたいだからさ。
 1日だけ預かって欲しいんだって。

 とりあえず、鞄の中に入れておこっと」

周囲のクラスメイトたちに聞こえるように大声で言う龍平。



「・・・・・・・・」

一人の少女が、深刻な表情を浮かべる。


それに、誰も気づかない。


そしてーーーー。

5時間目の授業。
担当の先生が体調不良で休みのため、
別室で、映画を見る授業だった。

先生は映画をかけて、退席していく。

先生の居ない状態。


「−−−−−」
龍平は、周囲の様子に目を配らせる。


・・・

生徒会の由香里が突然立ち上がった。

そして、視聴覚室から出て行く。

「−−−−−!」
龍平はただならぬものを感じて、
由香里のあとを追うことにした。


「まさか…」


視聴覚室から出た龍平は、
由香里のあとをついていく。

「まさか…清水さんが」
龍平はそう呟きながら、
由香里のあとを追うー。


その時だった。

背後で音がした。

視聴覚室からーー
スポーツ好きの淳子まで出てきた。

「−−−−!?」
淳子は階段を下りていく。

「−−−!」
龍平は迷う。

由香里ー?

淳子ー?

怪しいのは…


「どっちだ…?」

龍平は、父に言われたとおり
USBメモリーという”囮”で
憑依されている子をおびき出すつもりだった。

座間は神経質だ。
たとえ嘘臭くても必ず動きだす。

座間はそういう男だと父は言っていた。


2人が憑依されているということはあり得ない。


ならばー。

「−−−」
龍平は教室の方向に向かっている由香里を
尾行することにした。

淳子は、ひとまず無視だ。


「ーーー」

教室に入っていく由香里。

表情はいつも通りだ。


だが・・・


「教室に戻ってきたということは…!」
龍平が教室の中に飛び込む。

「−−−!!」
由香里が驚いた表情で振り向く。


やはり、過激な小説を最近読んでいたのはーー!


「・・・清水さん」
龍平は、由香里のほうをまっすぐと見つめた。

「−−−もしかして、清水さんが憑…」
そこまで言いかけて、龍平は口を止めた。

「−−−あ、、市村くん、どうしたの?」
由香里がいつものように微笑む。

由香里の手には、目薬。


「−−−あ、ごめん。
 目薬教室においてきちゃったから、
 取りに来たの。

 市村くんは?」

由香里は笑うー、
いつものように。

「・・・え、い、あ、、うん。僕も忘れ物」
龍平が慌てて言うと、
由香里は微笑んだ。

「そっか。ふふっ、似たもの同士ね!」
微笑みながら由香里は目薬を手に、
教室の出口に向かう。

「わたし、先に戻ってるね!」
そう言うと、由香里は可愛らしく微笑んで、教室から立ち去った。


「・・・なんだ…違ったのかな」
龍平が少しだけほっとする。

本当は、凶悪犯罪者なんて、居ないでくれたほうが良い。


ガタッ

音がした。


「−−−!!」
龍平が教室の入り口のほうを振り向くと、
そこにはーーーー


彼女の彩香が居た。


「彩香…?」

龍平が呼ぶと、彩香は微笑んだ。

そして・・・


「−−−そろそろうざいよね。龍平くん!」
彩香がいつものように、笑顔で言う。

だがーー

「−−−えっ…?」
龍平がその言葉の意味を理解できずに言う。

彩香が笑みを浮かべながら龍平に近づいてくる。


そしてーー、

突然、その綺麗な足を振り上げて、龍平の水落を
蹴り飛ばした。

「ぐふっ…!」
急なことに、驚いて目を見開く。


「−−−龍平くん…
 調子に乗っちゃ、ダメじゃない?

 いつまでもコソコソかぎまわっててさぁ…」

イライラした様子で髪をかきむしる彩香。


「あや…か?」
龍平が苦しい息で呟くと、
彩香は”豹変”した。

「クソガキがぁ!
 調子に乗ってんじゃねぇぞ!」

彩香とは思えない恐ろしい口調ー

そして、激しい形相ーーー



「−−−まさか!」
龍平は叫んだ。

「お前がーーー座間!?」

信じられなかった。
彩香がどうしてーー?


父の話なら、
生徒会の由香里か、スポーツ好きの淳子か、
お嬢様育ちの美香に憑依していたはず…。


「−−ほんっとうにバカね」
笑いながら机に飛び乗って、
足を組み、妖艶に微笑む彩香。


その彩香の姿を前に…
龍平は”絶望”するしかなかった…。



続く








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