人生のリコール 第7章 女性研修の開始
 作:Sachi



「失礼します」

緊張しているのか・・
シーンとした会場、自分と同じ格好をした女子が大勢いる。
僕は緊張しながら、もちろん女子が並ばされている席についた。
女子に囲まれるのは初めてではなかったが緊張した。

足をそろえ、スカートのお尻に手を添えて座り、
しばらくたった・・

総務部の部長が入ってきた。
「皆様、おはようございます。これより入社式や新入社員の指導会について説明をします。」

部長からは、これからスケジュールが語られた。
本日10時から入社式、会社の方針や社長の話し、辞令の発令などがあるらしい
午後からは社内の見学や新入社員同士のオリエンテーションがある。
そして、新入社員研修を兼ねた男女別の研修宿泊がある事が言い渡された。

新入社員は全てで58名、内42名がなんと女子である。
その42名の中に僕は打ち解けてられるのだろうか・・
とはいっても各支店などにこれから配属されるので実施一緒に
このビルの中で働くのは10名くらいだ。
そして僕は、ここビル(本社)に入る事が決まっていた。

社長の話が長々と続くなか、ついに僕達に話の順番が流れてきた。
名前と出身校、一言挨拶をひとひとり簡潔に行う自己紹介のコーナーだ。

初めは男子から調子のいい自己紹介が続く、子供だなぁ・・・と男子に対して僕は感じた。
他の女子もそうだろう・・

女の子達の自己紹介は簡潔だった。本当に名前や学校、がんばりますなど一言だった。
誰も目立という人はいない。この中に身を潜めたい。その思いだった。

そして僕の番だ・・

「あたしの名前は森山茉莉奈です。出身学校は◎◎女子大学です」
「社会人として女性らしく精一杯頑張ります。宜しくお願いします。」

改めて言った。公の場で僕が森山である事、女子である事・・
なんだかとても緊張した。

新入社員でグループを作って会社内の見学が行われる事となった。
僕は女子グループc班で、他に女の子が5人の計6名のグループだ。

同じ年の女子同士という事で僕たちはすぐ打ち解けた・・
大学卒業の「神奈 ゆり」「緒方 結衣」
女子大学卒の「柴崎 有紀」 あたし「森山茉莉奈」
短大卒の 「須田 澪」「早坂 美奈実」

ご飯を一緒に食べる事になった。
お互い改めて自己紹介をしながらご飯を食べる。
もう恐らくこれで女子のグループが一つ完成されたのだろう。

それに仲間意識が芽生える
「近い年齢(22〜20歳)、女子、スカートスーツ、新入社員」
このような条件がそろえば必然的に仲良くなれる。あくまで女同士なのだから・・

全員とりあえず話やすいファッションの話からはいった。
ファッションといっても今着ているスーツをどこで買ったとか、
化粧はこのくらいでよかったのか・・・そんな話だ。

スーツ一つにしても女の子は楽しい。それぞれ、話ながら共感をする。
スーツの形やデザイン、裏地の柄など女の子の服にはこだわりがある。
それが楽しい。

みんな名前を呼び捨てで呼び合う事にした。

そんなたわいもない話をしていると午後、社内見学に出る事になった。

僕は既に知り尽くしているが、もちろん
初めてのように聞くのだった。
しかし、男性だった以前ではよくわからない所もあった。
女子トイレやロッカーなども入って案内され、
この時ロッカーの鍵も受け取り場所の確認もあった。
僕のロッカーは有紀と澪の間だった。
ここでこれからは、この子達とあたり前のように着替えるのだ。

各部署を案内され、部長や課長達にも挨拶をしていった。
女子ってだけで、おっさん達がにこやかでやけに優しい。
以前から知っている僕にとっては気持ち悪い事この上ない。

廊下に出て、みんな感想をいう
ゆり「あの部署の人かっこよかったよね」
結衣「うん。優しそう」
澪「てか、あの課長さん。ずっと足とか胸みてたよね・・」
美奈実「うん、うげーって感じ」
ゆり「嫌だな」

もと男で、多少気持ちは理解できる。しかし気持ち悪い事には違いない。
僕もこの会話には合わせ、おじさん達の視線を批判していた。

大した事もしていないが、説明や見学、挨拶で入社式の初日は終わった。
そして翌日から3日間の研修合宿となる。

あの名護芽衣子より研修合宿のしおりが配られる。

女子社員研修のしおりが僕にも渡される
宿泊部屋は結衣と澪と同室だった。

こんなにも早く女の子と宿泊する事になるなんて・・
楽しさ、ドキドキよりも、ちゃんと泊まれるか不安になる。

もちろん僕の体は女の子だ。

でも・・色々不安になるのだった・・・・



翌朝。
不安はあるがきっと女の子同士楽しい夜になるだろうとワクワクしながら
集合場所へと向かう。昨日同様のスカートスーツに赤い色のスーツケースを引っぱり向かった。
バスでは有紀と隣どおしになり一緒に座った。

つい僕は有紀の服装や足を見比べてしまう。
僕はどこまでいっしょなのか未だに不安なのだ。
スカートから伸びるストッキングに包まれた僕と有紀の足を見て
少し安心をする。

「ちょっと茉莉奈〜なに足見てんのよ!えっちだな〜w」
「あっごめんっいや有紀の足奇麗だなぁ?って思ってさぁ」
「えぇそんな事ないよ?茉莉奈だってめっちゃ綺麗じゃん」

女の子同士のどこでも会話・・まさか相手が男は思わないだろう・・・

宿泊先に到着し、みんな旅行気分できゃーきゃー騒ぎながら中へ入り
研修会場へと進んだ。

真壁 梨江子という女性研修の担当者が現れ自己紹介もそうそうに
旅行気分だった僕達を一喝したのだった。

そして話を続けた。
この2泊3日での研修は基礎的なビジネスマナーや女性として社会に役立っていくか
の女子向けのセミナーが開始されるとの事である。

真鍋先生は厳しい口調でかたり始めた。
「女性の社会進出が当たり前になった今!我々女性の力をどれだけ行かせるか
会社としてもとても重要な事です。」
皆さんのような女性社員たちにイキイキと働いて欲しいのです。
今回の研修ではこれから女性としての悩みを題材にし
女子社員の気持ちを考えた研修を行います。」

「女性は仕事とプライベートの両方が充実して初めて充実感を得られます。
働く女性としてのマナーの他、ライフバランス、お金、メイク、
幸せになる方法を皆さんと3日間勉強していきますので宜しくお願いします。」

本当に女の子に向けた研修なんだと感じた
男だった僕が聞く事もなかった内容だろう。

僕はとてもドキドキした・・
この研修を受ける事で、僕は女性としてさらに一歩進める。
大人の女性として、誰にも愛される人になれるかもしれない。

さっき先生も言ってた。
女同士だから理解できる事もある。
そうこの会場には女の子しかいない。

だからこそ相談して、成長できる研修にしたい。

そう僕は、ただたんに森山茉莉奈になったのではない。
女の子の人生を楽しんむんだ。
そして女子としてちゃんと活躍する。

女子として生かせる仕事をして、
ちゃんと後輩を育て・・・・いずれ退職をする。

そう僕の最終目標は子供を産む。出産までする事だ。
だって女子なのだから・・・・・






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