人生のリコール 第3章 女性ホルモンと新しい女子の誕生
 作:Sachi



ついに女性ホルモンの投与となった。


まだ、完全に、森山茉莉奈になれると決まった訳ではない、しかし、今からでも遅いくらい。人生を剥奪された森山の人生を受け取ったとして、4月から森山として社会ですごす。しかし、前より女性らしくは、なったが、まだまだ男である。

どちらにしても、後に戻る事なんかできない。
迷う事なく、僕たちは、女性ホルモンの投与を受けた。

しかし、そのホルモン剤は恐ろしい程の変化をもたらした。

恐らく、このホルモン剤も、あの警官や政治家達が言った、まだ未決定の人権没収とセットの未承認薬なのではないかと思った。


インターネットなどで、聞いた話とまるで違う効果、

一週間で、完全に効果が出た。
まず、身長が縮む。普通ならありえない効果だ。そして、裸、明らかにキメが細かい裸になり、マシュマロのような感じである。筋肉などまったくなくった。重いモノを持つ時本当に大変だ。

恐るべき薬品だ。

ホルモンを打って、体調が崩れるなどといった事はなかった。

そして、一月下旬
僕たちいよいよ、最終試験を受ける事になかった。

女の子になる為、努力した。
勉強もした。

後はせいいっぱい頑張るだけ。

そう思った。


三ヶ月一緒に頑張った
加奈子と麻衣、三人で、合格してプリクラを撮るその目標を叶える為に

試験会場に向かったのであった。

試験は筆記試験と面接であった。

筆記はまとめて、森山茉莉奈候補は三人、
女装男子の東堂和也
女性の名護芽衣子
そして、僕、高木正則だ。

筆記試験は5000問の問いに答える。
長い時間だった。終了。
すぐさま採点されるようだ。

そして、面接、東堂和也からだ。
僕と女性の名護芽衣子は待ち合い室で待つ事になった。

名護芽衣子が口を開いた。
あんた辞退しないさいよ。
なんでよ?
なんで男が女の子になるの?おかしくね?キモイわ。
何しかと?
本当に女の子としてやっていけると思ってんの?

あなたこそ、辞退なされたら?
森山茉莉奈は、そんな乱暴な事は言わない。あなたなんかより、あたしの方が相応しいわ。

何?勝ったつもりなんだ?

ふーん。いいわ。負けたら。あたしの事は好きになさい。

そう言って、彼女は面接に向かった。

そして、いよいよ僕の番だ。

失礼致します。

三番の高木正則です。
よろしくお願い致します。

はい、よろしく、では高木さん。
これからは、森山さんとして答えて下さいね。

はい。

まず、名前と生年月日、出身学校を教えて下さい。
はい、名前は森山茉莉奈と申します。1990年4月8日生まれです。丸●●県立××女子高校を卒業し、△大学に入学致しました。

はい、続いて、
一時間程続いた。

最後に、森山さんになったとしての抱負を聞かせて下さい。
はい、このようなチャンスをいただけただけでも、光栄です。
もし合格する事ができましたら、大人の女性として、恥ずかしくない行動をとり、女性としての社会的地位の向上につとめて参ります。

はい、わかりました。

そして、再び、三人が集められた。
唯一もともと女性の名護芽衣子は余裕の表情だった。

ドキドキした、
会社をほぼ無理やり解雇されてからの半年、この夢を叶える為だけに頑張って来た。
なりたい。この権利を掴み取りたい。

えーでは、発表します。
まず、今回、このような、新しい取り組みに参加をしていただい事を深く御礼申し上げます。

他人になるという事は、とても大変な事であります。
そして、これからも、葛藤があると思いますが、精一杯あたらしい人生を歩んで下さい。


では発表します。
森山茉莉奈の人生を手にいれたのは、高木正則さんです。

嘘っ


やったあ。
努力してきたかいがあった。

嬉しい、涙がでそうだ。


ちょっと、どういう事よ!
女性のあたしを退けて、なんで、そいつなのよ!名護が反発する。

名護芽衣子さん、このテストは、あくまで、森山茉莉奈という。人間になれるかのテストだ。
確かに女性心理や文化の点数はあなたは、高い、しかし、森山個人のプライベート問題は正解4806問だ。
それだけ当てればじゅんぶんでしょ!

しかし、高木くんは、5000問すべてを正解し、女性心理、文化も君より高いんだよ。

えっ。
名護さん、君は女性としての心すら高木くんに負けたのだよ。

くっ

なによ、バカみたい!
森山?
こんな対して可愛くもない、女、最初から、そこまで、興味ないわよ。
高木って言ったわね。あんたみたいなむさい男には、ちょうどいいわよ。

さよなら。

では、晴れて権利を手にした高木君には、授賞式に参列してもらう。
3月1日、ここに来なさい。


そういうと、一枚の案内状を受け取った。

いよいよ、授賞式の日付となった。

僕の体は、すっかり女性らしくなっていた。男性器は残っているが。

2月28日、指定されていた病院に入院、ここで、整形手術を行う。

さすがは、政府の作り出した組織だ。

整形のやり方を聞いたら、森山の顔の型ができ上がっていて、それを僕の顔の皮膚を剥がしてくっつけるというモノだった。

まるでジョントラボルタが出ていた映画、フェイスオフのようなやり方だった。
そして、その手術は数時間で終了し、目が覚める頃には、顔が変わっているらしい。

そんな話しまで聞いた後に麻酔を打たれてしまい。深い眠りについた。

夢は眠りが浅い時に見るらしい。

この時は、夢は見なかった。
よほど深い眠りだったのだろう。

気がついた。


ここは。

顔の手術も無事成功だよ。高木君。

僕を今回誘った警察官だ。

隣にある鏡をみたまえ


わあ。

それは紛れもない。
森山茉莉奈だった。
これが、ぼくの顔なんだ。

顔を触る

目覚めたばかりで、悪いが、もう動いて大丈夫のはずだ。

そこにあるスーツを着てくれ、授賞式に参列してもう。

あっそうか、まだイロイロあったんだあ。

はい、わかりました。

僕は起き上がって、ブラウスに袖を通し、ずっとはきたかった、タイトスカートに足を入れ、ジャケットを羽織り、パンプスに足を入れる。

鏡に写ったのは、あの日、面接を受けに来ていた。森山の姿だった。

これが僕。

いや、あたしか。ふふっ

カツカツ、ヒールの音を鳴らしながら、授賞式にむかった。

奴らに、誘導され、病院内にあった。部屋に案内された。

会議室のような部屋で、僕を誘った。政府関係者が10人程並んでいた。

なんか、大袈裟ですね。

けじめはしっかりつけないとね。

これより、高木正則から森山茉莉奈への、人生変換式を行います。

高木正則、起立!

はい。
ガタ、

平成24年6月日、現.森山茉莉奈は、窃盗罪により、懲罰、人権没収となり、今後の森山茉莉奈としての人生及び権利を剥奪したものとする。
厳選なる審査及び、試験の結果、平成25年3月1日付をもって、高木正則を新・森山茉莉奈としここに認める。

拍手がおきる。

証明書授与
森山茉莉奈としての生活を認め、貴女に、以下を授与よる。

森山茉莉奈としての
免許証
保険証
大学卒業証書
各資格の証明書
アパートの鍵
及び、前・森山茉莉奈が所有した財産、権利は、新・森山茉莉奈が受け継ぐものとする。

抱負発表
なにも聞いていなかったが、一通の手紙が渡された。中の文書を読むように指示された。

抱負
この度、渡しは、森山茉莉奈としての人生をいただき、大変光栄です。
私は、今後の人生を女性として生きていきますが、向上心ある女性とし、自立ある女性になり、社会の模範であるように務めます。

平成25年3月1日、森山茉莉奈




はれて僕は、森山になったのだ。

なんだか気がらくになった。

いやいや、これから社会人になるのだから気を引き締めなければいけない。





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