とある男女の夏休みの物語-7- 作:ONOKILL エピローグ 平助は治と典子に入れ替わりに関する全てを話した。そしてその場に座り込み、二人の前で土下座をした。 「もういいよ、じいちゃん。典子も元に戻れたわけだし、もう誰もじいちゃんを責めないよ」 「いいえ、私は許しません」 典子は両手を組んで怒ったように言った。 「何を言ってるんだ、典子。じいちゃん、土下座までしているんだぜ。許してやれよ」 「私が許さないと言ったのはおじいさまではなく、治、あなたよ!」 典子はそう言って治の正面に立ち、両手を腰に当てて彼を思いっきり睨みつけた。 「ええっーー! お、俺かよ!」 「そうよ。偉そうに言って、結局、何にも出来なかったじゃない!」 突然、典子に噛みつかれた治はただただ動揺するしかなかった。 「そ、そんなこと言われても、人知を超えた魔法の力じゃ、どうすることも出来ないじゃないか…」 「だからあなたには…、こうするの!」 典子はそう言うや否や、自分の額を思いっきり彼の額を打ち付けた。 「いだぁあああーー! くぅううう…、いったい、何を…」 痛む額を押さえながら治が典子に向かって怒りをあらわにしたが、次の瞬間、彼の目の前から典子が消えうせ、代わりに見知らぬ男が立っていた。いや、見知らぬ男ではなかった。それは彼自身だった。 「へへっー、入れ替わっちゃった♪」 治は嬉しそうにガッツポーズをする自分自身を呆然と見つめる事しか出来なかった。そして自分の左手の薬指にあの指輪がはめられている事に気付いた。 おわり |