政美が仕返ししたいのは・・・(第1話)
政美:「ねえ良晴っ、聞いてよっ!」
最近あまり話すことが無かった政美と良晴。
良晴が「ピンポイントコンタクトレンズ」を使って政美にイタズラしてからは、
以前のように付き合う事が出来なくなっていたのだ。
お互い、妙な雰囲気を感じていたが、自分から話そうという気にもなれず
数週間が経とうとしていた。
まったく話さないわけではない。ただ、それは親友・・・いや、悪友の芳雄を
通じて話を伝えるという、なんともまどろっこしいやり取り・・・
そんな状況を打破するかのように、今回はなんと政美から声をかけてきたのだ。
良晴:「なっ、何だよ、急に。」
政美:「いいからちょっと聞いてよ。」
そう言うと、政美は機関銃のようにひたすら話を始めた。
せっかくの昼休みがだんだんと短くなってくるのを感じながら、とりあえず
向こうから話しかけてきたのだから・・・・
そう思って素直に聞いていた・・・・
予鈴が鳴ろうとしている時・・・・
政美:「ねえっ!酷(ひど)いと思わないっ?」
良晴:「ま、まあな。」
政美:「まあなって、良晴っ!あんた仮にも私と付き合っているんでしょ。それだけなの?」
良晴:「そうだなぁ・・・」
政美:「そうだなぁ・・・って、私のために何とかしてやろうとは思わないの?」
良晴:「う〜ん・・・どうしてほしい?」
政美:「決まってるでしょっ!あいつに仕返ししてやりたいのよっ!」
良晴:「仕返しかぁ・・・」
政美:「芳雄にも手伝ってくれるように頼んでよ。あんた達、親友なんでしょ。」
良晴:「親友というか悪友というか・・・」
政美:「そんなのどっちでもいいのよっ。ねっ!もう全然怒ってないし良晴に仕返しもしないから。」
良晴:「・・・・じゃあ、俺の言うとおりにしてくれるか?」
政美:「・・・い、言うとおりって何よ?」
良晴:「そのあいつへの仕返しって話だよ。俺が作戦を立てるからお前はちゃんと俺の指示に従うかって
聞いてるんだよ。」
政美:「そ・・それは・・聞いてから考えるわ。」
良晴:「悪いようにはしないよ。ま・・・・この前のことは悪かったし。ごめんな。」
政美:「う・・・うん・・・・いいけど・・・もう怒ってないし・・・・」
良晴:「そっか、あとで芳雄に聞いてみるよ。」
政美:「うん。ありがと。でも、この前使ったコンタクトレンズでも仕返しできるよね。」
良晴:「ああ、あれな。ピンポイントコンタクトレンズよりも前のやつのことを言ってるんだな。
あれを俺が使って仕返しできると思うけど、それじゃあつまらないだろ。
やっぱり自分で仕返ししなきゃ。」
政美:「それもそうねぇ・・・・」
良晴:「お前があのコンタクトレンズを使って仕返ししてもいいんだけどな。」
政美:「私が?1人で?」
良晴:「そう。また芳雄から借りてやるから。」
政美:「う〜ん・・・・できるかなぁ‥」
そこに、ノコノコと芳雄が現れる・・・
芳雄:「おっ!珍しいじゃん、二人が話してるなんてさ。」
政美:「あ、芳雄っ。」
良晴:「おう、今ちょうどお前の話をしていたんだ。」
芳雄:「俺の話?一体なんだよ。また悪巧みを考えているんじゃないだろうな。」
良晴:「あのさっ、身体を変身させるコンタクトレンズ、貸してくれよ。」
芳雄:「・・・・・ダメっ!」
良晴:「どうしてさ?」
芳雄:「今、無いんだ。」
良晴:「えっ!無い?」
芳雄:「うん。」
良晴:「どうして?」
芳雄:「貸してるから。」
良晴:「誰に?」
芳雄:「裏の世界の人に。」
良晴:「お前、どういう人間と付き合ってるんだよ。」
芳雄:「俺みたいに超絶した頭脳とアイテムを持っている人間には色々なところから
話が舞い込んでくるのさ。」
良晴:「危ない奴だな、お前って。」
芳雄:「なぁに、たいしたこと無いさ。」
政美:「・・・・・・」
良晴:「・・・・まあいいや。とりあえず今はあのコンタクトレンズはないって事だな。」
芳雄:「ああ。あと10日もすれば戻って来るけど。」
良晴:「10日も貸しているのか。」
芳雄:「いいスポンサーだからな。1日600万で貸しているんだ。」
良晴:「ろ・・・・ろっぴゃくまんえん!」
芳雄:「安いもんだぜ。他人の身体をコピー出来るんだからさ。いろいろと使いようがあるだろ。」
良晴:「そりゃそうだけど、600万か・・・・お前ってほんとに怖い奴だな。」
芳雄:「何言ってんだよ。お前にはタダで貸してやってるじゃないか。やさしいだろ。」
良晴:「そこんところはな・・・」
芳雄:「それよりさ、また面白い物、作っちゃったんだよ。」
良晴:「なんだよ、それ?」
芳雄:「細胞均一化チップ。」
良晴:「細胞均一化チップ?」
芳雄:「そうだ。これはどういう物かと言うとな・・・・」
キーンコーンカーンコーン!
いつの間にか予鈴のチャイムが鳴り終わり、本鈴のチャイムが鳴った。
芳雄:「また後で話すよ。」
良晴:「あ、ああ・・・」
政美:「・・・・大丈夫なの?」
良晴:「何が?」
政美:「私の仕返しの話・・・」
良晴:「た、多分・・・・な。」
話は進まないまま、3人はそれぞれの席についた。
さて、さっきから政美は何を仕返しすると言っているのか?
話はこうだ・・・・・
政美は女子剣道部に所属していて、昨日もいつものように体育館で練習をしていた。
そこに、男子剣道部の3年生、すなわち、1年先輩にあたる「川西 伸吾(かわにし
しんご)」が近づいてきて
伸吾:「なあ、俺と付き合ってくれよ。」
といきなり告白されたらしいのだ。
伸吾は男子剣道部の部長をしていて、それなりにかっこいい。
そんな伸吾にいきなり告白されたのだが、とりあえず良晴と付き合っているし
もともと伸吾のことなんか全然眼中になかった(タイプじゃなかった)政美は
政美:「あの・・・私、付き合っている人がいるので・・・」
と断ったそうだ。
でも、そのあと、体育館に体操服を着た女子生徒が伸吾に近寄ってきたらしい。
その生徒は、政美も見たことのある女の子だった。
女の子と言っても、政美よりも1年年上。伸吾と同じ学年だ。
彼女の名は「井上 美月(いのうえ みつき)」。
どことなく政美と顔つきが似ているが、プロポーションは遥かに美月のほうがいい。
身長は同じくらいなのだが・・・赤いブルマーから伸びる見える2本の足は政美よりも
かなり細い。政美も細いんだけど!
ウェストのきっちりとくびれていて、お腹なんて全然でてなさそうだ(直接見たこと無いけど)。
決定的なのは胸の大きさ。
政美の程よい大きさなのだが、美月はDカップはありそうな感じで制服の胸のあたりが
ムチッと張っているのがよく分かる。
そんな美月が二人の前に歩いてくると、
美月:「また女の子口説いて・・・」
伸吾:「いいじゃない。この子、結構かわいいだろ。お前にも何となく似てるしさ。」
美月:「そう?」
伸吾:「まあ、スタイルは美月の方が格段に上だけどな。はははははっ!」
美月:「私がいるんだから他の女の子、口説かないでよ。」
伸吾:「そう言うなって。こいつ、俺が付き合ってくれって言ったら断ったんだぜ。
この俺が折角こっちから言ってやったってのに。馬鹿な女だと思わないか?」
政美:「なっ・・・・」
美月:「いいでしょ。そんな事は。それより今度の日曜日、どこかに連れて行ってよ。」
伸吾:「ああ、いいぜ。どこにでも連れて行ってやるよ。でも今度こそ最後まで付き合ってくれよ。
俺だっていつまでもおあずけじゃあ耐えられないからな。」
美月:「さあ。そうやって女の子を口説いているうちはぜ〜ったいダメだから。」
伸吾:「そんな事言ってたらそのうち別の女と付き合うぞ。」
美月:「どうぞご自由に。私も別の男と付き合うから。」
伸吾:「へっ。冗談だよ。冗談。お前を放すわけ無いじゃないか。」
そう言うと、いきなりギュッと引き寄せて美月のほっぺにチュッとキスをした。
政美:「わっ!」
思わず赤面する政美。
伸吾:「おいおい、いつまで見てるんだよ。あっちにいけよ、ほらっ!」
伸吾が政美をドンと突き倒す。
床に尻餅を付いた政美は、キッと伸吾をにらみつけた。
政美:「な・・何よっ!いきなり告白してきたと思えば付き合ってる人がいたり突き飛ばしたりっ!」
伸吾:「はぁ?遊びだよ、あ・そ・び! 子供には刺激が強すぎたかな?ははははっ!」
政美:「ムカツク〜ッ!」
政美は逆上して竹刀で叩いてやろうと思ったが、すでに周りには他の生徒達がいるので
ここはグッと我慢して堪(た)えた。
みんなの前で馬鹿にされたかと思うと余計に腹が立つ。
政美:「絶対に仕返ししてやるっ!」
そう言い残し、政美は体育館から去ったのだ。
・・・・それが昨日の話。
・・・ムカムカしながら、どうしてやろうかと悩んでいた今日。
でも、やっぱり1人では何にも出来ないので良晴に手伝ってもらうしかない!
そう思い、意を決して昼休みに良晴に話を持ちかけた。
昨日の事が起きてから、良晴へ腹を立てていた気持ちなんかすっかり無くなっていたのだ。
政美は昨日馬鹿にされた伸吾に仕返しをしたいがために、良晴と芳雄に手伝って
もらいたい・・・そういうこと。
二人なら何とかしてくれるだろう・・・・
そういう思いがあった。
だってこの二人、なんか異様だから・・・
政美が仕返ししたいのは・・・(第1話)・・・・・・終わり
あとがき
良晴と政美、何となく仲直りしているようです。
これまでの経緯やタイトルから言うと、良晴に仕返ししそうな感じでしたけど。
しかし、今のところ何の話かさっぱり分かりませんよね(^^
実は、最近数人の作家さん方が書かれている「皮」関係の話が
頭の中から離れず、私も思い切って書いてみたいと思いました。
まあ、皮っていうか何ていうか・・・皮じゃないかも・・・
さあ、第2話ではその全貌が明らかになります。
どうやって使うんでしょうね・・・・って、もう分かっちゃいました?
それは次回のお楽しみに・・・
それでは最後まで読んで下さった皆様、どうもありがとうございます。
最後に・・・
あさぎりさんっ!
ありがとぉ〜っ!
Tiraでした!