秘密のコンタクトレンズ(帰り道で・・・)
 
 

ごそごそになった歩きにくい靴で、ゆっくりと前に進む。
かかとに全然靴が当っていないので、まるでスリッパを履いているようだ。
制服の胸の膨らみを見ながら、バス停に向かって歩く。
 

良晴:「なんか変な感じだよな。身体に合ってない服を着るってこんな感じなのかな。」
 

カバンを持っている右手は、本当に信じられないほど綺麗だ。
何度も両手を目の前に持ってきては、その細くて美しい指を眺めた。
マニキュアを塗っている長い爪が制服の袖から出ているからとても奇妙に思えてくる。
 

良晴:「ほかの人にバレたら変に思うよな。」
 

バス停に着いた良晴は、待っている間、カバンを足元に置いて指を見せないようにポケットの中に
手を入れていた。
程なくしてバスが到着する。
カバンを持った良晴がバスに乗り込む。
バスの中は少し込んでいたので、良晴は椅子の横に立ってつり革を持とうとした。
しかし、マニキュアが塗ってあるのでむやみにつり革を持つことが出来ない。
良晴はカバンを床に置いた後、ズボンのポケットに両手を入れて足を踏ん張れるように少し開いた。
 

良晴:「お姉さんの身体をもって帰るのも、結構苦労するな・・・」
 

バスがゆっくりと動き出す。
まあ、10分ほどで到着するので我慢は出来る。
 

良晴:「まさか制服の中には綺麗なお姉さんの身体があるなんて誰も思わないだろうな。」
 

周りを見渡しても良晴の方を見ている人はいない。
優越感に浸りながら、早くバスが到着する事を祈っていた。
時折、バスが道路を曲がる。
その度に、自分の身体なら踏ん張れていたのに、勢いに負けてズルズルと流される。
 

良晴:「女性の身体ってこんなに足腰弱いのか・・・」
 

今まではあまり意識しなかった事。
それに、バスの振動で胸が小刻みに上下に動いている。
ブラジャーで固定されていないので、その胸の振動が直に肩に伝わり、重みを感じる。
 

良晴:「いいなぁ・・・・女性はこうやって肩に胸の重みを感じてるんだ・・・」
 

制服の上から胸を見た良晴は、そう思った。
そうこうしているうちに、バスは降りるべき停留所に近づいた。
バレないようにすばやくボタンを押して、降りる事を運転手に伝える。
バスが停留所に止まった。前のドアが開く。
良晴はカバンを持った後、胸のポケットから生徒手帳を取り出した。
バスの定期は生徒手帳の裏に落ちないように挟んであるのだ。
胸が大きくなった分、ポケットから取りにくかったが、何とか取り出した良晴は、
生徒手帳の裏を開いて運転手に見せた。
運転手は定期券を確認したあと、
 

「えっ!」
 

と声を挙げた。
生徒手帳を持っている指にマニキュアが塗ってある。
それに長い爪・・・
綺麗な指・・・・

思わず良晴の顔をみた運転手。
 

良晴:「綺麗な手だろ!」
 

そう言うと、ニヤニヤしながらバスを降りていったのだ。
ポカンとしている運転手は、ハッと我に返った後、首をかしげながらドアを閉めて
バスを走らせた。
 

良晴:「驚いてたな、あの運転手。」
 

そりゃそうだろう。
高校生の男が手にマニキュアを塗っているのだから。それに、男に似合わない異様に綺麗な指。
不思議がらないはずが無い。
 

良晴:「見せる快感ってのもあるよなぁ。」
 

ちょっと優越感に浸りながら、目の前にある我が家の扉を開いたのであった・・・
 
 
 

秘密のコンタクトレンズ(帰り道で・・・)・・・・終わり
 
 
 
 

あとがき

この話は、前にメールで感想を送っていただいた方の中から
「女性の身体ですんなり家に帰れたのでしょうか・・・」
というお話があり、ほうほう全くその通り!と思ったので付け足しました。
制服の中に女性の身体を持ったまま家に帰る・・・
想像してみると、確かにむむっと思いますね。
今回は制服から見えている「両手」をターゲットに書きました。
男の制服の中から大人の綺麗な女性の手が出ているのって不自然です。
それにマニキュアまで塗っているのですから!
でも、それが逆に萌えどころって感じもしますね。

それでは最後まで読んで下さった皆様、ありがとうございました。
短くてごめんなさい!

Tiraより
 
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