家庭教師で行こう!


今日、俺の家に博和が来ている。
この前、女子高の先生を体験したけど、いまいちその気になれなかった俺の
相談相手になってくれている。
やっぱり俺は、体育の先生では長続きしそうに無い。
それが、自分でもよく分かった。

「なあ志郎。多少のことは教えられるだろっ!」

「そうだな。まあ、小学生なら任せてもらおうか。」

「おいおい、何だよそれは。高校生くらいに教えられないのかよ。」

「それは無理だな。おまえ、俺がどんな成績か知らないだろ。」

「どんなって、大学行ってるんだからそれなりの知識はあるだろ?」

「それは受験したときの話さ。大学に入っちまえば、適当に単位を取るだけだから
  勉強なんてしないだろ。だから高校生に教えられるほどの知識はないの!」

「俺だったら教えられるぜ。英語以外ならな。」

「博和は勉強してたもんな。バイトばっかりしていると思ったけどその辺はしっかりしてたからなあ。」

「あたりまえだ。遊び半分、勉強半分。親に金出してもらってるから多少は頑張らないとな。」

「えらいよ、博和は。」

「別に偉かないよ。おまえが遊びすぎてるだけさ。」

「そーかなぁ。みんな同じだと思うけどな。」

「まあいいや、とりあえずおまえの就職先を決めないといけないからな。
  せめて中学生くらいに高校受験のための勉強を教えられないのか?」

「中学生か、教科書があれば何とかなるかもしれないな。一度参考書でも見てみるか。」

俺は押入れの奥にしまってあるダンボールをごそごそと取り出した。
そして、中学の時に買っておいたぼろぼろになった参考書を手にとり、ぱらぱらとめくってみる。

「・・・やっぱりダメかも。」

「うそだろ!中学レベルの問題も解けないのかよ。」

「うーん、物理くらいなら何とかなりそうだけど。」

「はぁ・・・おまえ、ちょっと遊びすぎ。」

「す、すまん・・・」

「1教科しか教えられないんだったらぜんぜん意味ないじゃんか。」

「ぅ〜、そうだなあ。家庭教師くらいなら出来るかなあ。」

「さあな、たいていは複数の教科を教えるはずだからな。物理だけじゃあ・・・」

「でもさ、1日に何教科も教えるわけじゃないだろ。もしかしたら物理だけかもしれないじゃないか。」

「そう言われるとそうかもしれないな。でもほんとに家庭教師になりたいと思ったら
  ほかの教科も勉強しなければならないぞ。」

「ああ、そのときはそのときさ。とりあえず中学生に物理を教えて
  家庭教師という職業を体験するよ。」

「それはいいけど、生徒を誘惑するなよ。どっちみち前みたいに女に乗り移るつもりなんだろ。」

「まあ、そうかもしれないけど・・・分からないな。」

「まったく・・・志郎は真剣に考えてるのかどうか分からないよ。」

「なんでさ、いつだって真剣だぜ。」

「まあいいや、とりあえず行って来いよ。今回は俺の出番はなさそうだから
  後でどんな感じだったか聞かせてくれ。」

「ああ、任せてくれよ。とりあえず家庭教師を派遣しているところを探してみるよ・・・」
 


俺は博和が帰った後、求人雑誌を見ながら家庭教師を募集している派遣会社を探しはじめた。

「えーと、家庭教師は・・・あった!」

家庭教師の募集ページを見つけた俺は、一番近いところにある会社を選んだ。

「ここに行ってみるか!」

最寄の駅前にある派遣会社に決めた俺は、ベッドに横になって眠り、俺の体から抜け出した。
最近は、堂々と大学にも行かずに昼寝しているので、俺の親から見れば

「就職活動もしないで、まったくあの子ったら・・・」

って思われているかもしれない。でも俺は考えてるんだ。
ちゃんと就職するって・・・
そうやって言い訳を思いながら派遣会社に向かった・・・

駅前は相変わらず大勢の人でにぎわっている。
俺はビルの間をすり抜けて目的の派遣会社を探していた。
同じようなビルがいくつもあるのでかなり時間がかかったけど、
やっとの思いで見つけることが出来た。
白い6階建てのビルの3階に派遣会社の事務所を見つけた。

「ここか・・・」

俺は3階の壁をすり抜けて事務所の中に進入した。
中ではパソコンを使ってデータ整理をしている社員がいて、
それとは別に学生風の男女が、3〜4人テーブルに座ってコーヒーを飲んでいる。

「きっと彼等が家庭教師だな。」

俺は学生風の若者達に近づいた。
みんなテーブルの上に参考書とカバンを置いている。たぶん、それぞれが担当する生徒達に
教えるための本だろう。俺はテーブルの上の参考書を一冊ずつ見て回った。

「中学生用の参考書は・・・・んっ!!」

テーブルに、俺が持っているのと同じ参考書が置いてある。改訂版と書いてあるが、たぶん
内容はほとんど変わってないだろう。
参考書は、数学と物理が置いてあった。

「これなら出来るぞ!」

そう思った俺は、いままで気にしてなかった持ち主の顔をみて思わずニヤッとしてしまった。
女性だ。それも美人!
やさしそうな顔をしている彼女は、背中くらいまである、少し茶色いストレートの髪をしていて、
水色のVネックの半袖セーターに茶色のカットパンツを穿いていた。
彼女の大きな二つの胸と引き締まったウェストは、セーターに柔らかな曲線を与えている。
椅子に座っているお尻は、ピッチリときれいにカットパンツに収まっていて、テーブルの下で組んでいる足は
妙にセクシーだ。
たぶん大学生と思うけど、テーブルに肘をつき、コーヒーカップを持ちながら話している彼女を
見ていると、大人の雰囲気が十分に漂っていて、典型的な「きれいなお姉さん」と言えた。

「・・・で、その子がね。お笑い芸人の***にとっても似てるのよ。もう笑いをこらえるのに
  必死だったわ。」

「はははははっ!そりゃ傑作だよ。一度会ってみたいな、その子に。」

テーブルでは、担当している生徒の話で持ちきりだった。
俺は彼女が担当する生徒の家に行くまでこのまま待つことにした。
とりあえず彼女の性格を知り、彼女のように振舞わなければならない。
彼等の会話を聞いていると、だんだん彼女の性格がわかってきた。
彼女は俺が感じていたとおり、やさしい性格の持ち主のようだ。
他の人が生徒のことを面白がって笑い話にしているのに対し、
彼女はそれをかばうように、生徒のいいところを話している。

俺は早く生徒の家に行かないかなあとイライラしていた。
ここに着いてからもう1時間は経っている。

しかし、間もなくして

「それじゃ、行くっか!」

一人の男性が声を上げた。
それが合図で、みんな一斉に椅子から立ち上がった。

「がんばってね。」

「ああ、おまえも頑張れよ。」

それぞれが声を掛け合った後、事務所の出口へと消えていった。

「やっとか・・・」

俺は半分どうでもいいやって感じで彼女の後をついていった。
彼女は参考書を入れたカバンを持ち、みんなとエレベーターで1階に降りた後、駅に向かって歩き出した。
定期を差込み、改札口をくぐる。俺は彼女に近づいて、その定期にかかれている名前を見た。

「藤堂 成美、20歳」

定期券にはそう書かれていた。年齢は分からないが名前はあっているだろう。

「成美さんか。いい名前だ。」

俺は彼女の後ろについていき、同じ電車に乗り込んだ。
車内は夕方ということもあって、結構人が多い。
成美さんは、座ることが出来なかったのでつり革につかまって立っている。
駅員が吹く笛の合図で、電車のドアが閉まり始めた。
その瞬間、大勢の乗客が一気に乗り込んでくる。
朝のラッシュアワーとまでは行かないが、それに近い状況だ。
俺は混雑する車内で、成美さんの上に移動してふわふわと浮いていた。
完全にドアが閉まり、ガタンという音とともに電車がゆっくりとレールを滑り出した。
しかし、成美さんの上にいる俺の幽体だけがだんだんと後ろに下がっていく。

「あれっ!なんで?」

どうやら幽体では電車に乗っても意味がないようだ。
幽体の俺には、電車の中も外も関係ない。
このままでは、電車から取り残されてしまう。

「やばいっ!」

そう思った俺は、とっさに一人の女子高生に乗り移ることにした。
流されながらもその女子高生のうなじを気にしながら体にスッと入り込む。

「あっ?!」

彼女は体を硬直させて倒れそうになるが、混んでいるせいで周りの人に支えられ、何とかその場に
立っていた。俺は動く電車の中で揺れている女子高生の体に、最後まで幽体を入れるのに手間取った。
しかし、何とか全身を収めることが出来た俺は、彼女の体を完全に支配した。
電車の振動がすぐに体中に伝わってくる。
少し傾いた体を立て直し、足を少し開いて倒れないようにふんばった。
片手には学校のカバンを持っている。
俺はほっとして、

「はあ〜っ」

と息を吐いた。彼女のかわいい声が電車の雑音とともに耳に入った。

「おっ、結構かわいい声してるな。」

そう思った俺は、周りに聞こえないように鼻歌を歌った。

「ふふふーん、ふふーん」

周りに聞こえなくても、俺の耳に直接聞こえる彼女の声は、アニメの声優のようだった。

「かわいいな。この声は・・・」

改めてそう思った俺は、頭を下に向けた。そこには、制服に包まれた女子高生の体がある。
俺は、電車の揺れに体を合わせながら、白いブラウスの胸ポケットに入っている生徒手帳を取り出し開いた。
生徒手帳には、制服姿をしたショートカットの、かわいい女の子が写っている写真が貼ってある。
その横は「萩原 有紀(ゆうき)」という名前が書いている。
名前を確認した俺は、目的の駅に着くまでこの体を借りることにした。
かばんの中に手帳を入れた俺は、改めてこの体を見直した。
太ももの半分以上が見えるくらい短いチェック柄のスカートを穿いた有紀ちゃんの姿は、
周りの男性達の格好の餌食に思えた。

「よくこんな格好で電車に乗るよな。痴漢してくださいって言ってるのと同じじゃん。」

俺はそう思いながら片手でお尻を揉んでみた。有紀ちゃんの柔らかいお尻が俺の手の中で
形を変える。

「女子高生のお尻は柔らかいな。自分で触ってるから痴漢じゃないんだ。」

俺は、電車で女性に触りたいと思ったことが何度もあった。しかし、その勇気もないし、
警察に捕まるのもいやだった。でも、いまなら堂々と触ることが出来る。
俺は調子に乗ってもうちょっといたずらすることにした。
周りの人に気付かれないようにスカートからブラウスの裾を少しづつ引きだす。
すると、白いおなかが現れた。
俺はそこからブラウスの中に片手を入れた。そして、ブラジャーを上にずらし、ふっくらした
胸を揉み始めた。
胸の突起をさするたびに気持ちいい感覚が込み上げ、思わず

「あっ・・・あっ・・・」

と声が出てしまう。少し硬くなってきているのが分かった。有紀ちゃんの体が感じ始めている。
あまり長い間ブラウスの中に手を入れているのもちょっとまずいかなと思った俺は、
手っ取り早く気持ちよくなりたいと思った。そこで、背中に手を回し、ブラジャーのホックを
ぱちんと外した。その後、周りに分からないよう、慎重に片の紐を腕まで外した。
そして、カバンを胸の前で抱え、周りから見えないようにして、両方の肩紐を外すことに成功した。
俺の体からブラジャーが完全に取れた。そのままカバンにブラジャーを入れた俺は、
ブラウスの裾を元通りにスカートの中にしまいこんだ。
ブラウス越しに見える胸の突起はとてもいやらしく思える。
そのあと俺は、体勢を変えて、背の高い男の後ろに立ち、その男の背中に胸の突起が少し当たるように
距離を取った。電車の揺れと反対方向に体を動かすと、男の背中に突起が擦れる。

「んっ!」

俺の口からかわいい喘ぎ声が出た。男はYシャツ1枚しか着ていないので、
背中には有紀ちゃんの硬くなった二つの突起の感触が伝わっているはずだ。
しかし、男は知らん振りをしたまま前を向いている。
俺はお構いなしに男の背中に胸の突起を擦りつけながら、意識を集中させる。

「あんっ・・・あっ・・あっ・・・」

と喘ぎながら快感に浸っている。しばらくすると、電車の速度が落ち、アナウンスが聞こえて次の駅に到着した。
成美さんを見ると、まだ電車の中にいるのでこの駅で降りるのではないことが分かった。
俺は人が出入りするのに合わせて、この男の前に回りこみ、背中を向けてもたれかかった。
男は自分の前にかわいい女子高生が来たので、恥ずかしいのか、少し後ろに下がった。
俺は男が下がるのに合わせて、同じように後ろに下がる。男の胸に俺の背中を密着させる。
駅員のアナウンスが終わると、またドアが閉じて電車が走り出した。
快速電車なので、次の駅に到着するまで15分くらいはあった。
電車に揺られながら、上を見上げると、男の顔があった。男はまっすぐ前の広告を見ている。
俺は男の太ももを指でコンコンと叩いた。広告を見ていた男はスッと下を向き、見上げていた俺と
目を合わせた。俺は、小さな声で

「いいよ、触っても!」

と誘惑した。男は目が点になっている。

「ねえ、触ってもいいよ。触りたいでしょ。」

俺は男に見えるようにグッと胸を張った。2つの大きな胸の先端にある突起が、ブラウス越しにもはっきりと分かる。
しかし、男はまたしても無言で前を向き、広告を読み始めた。

「恥ずかしがりやなんだから。」

俺はそう言い、カバンを足元に置いた。そして、男の両手を持って、俺のお尻に導いた。
男はビックリしてお尻から手を離した。そして、声を殺して話し掛けてきた。

「な、なにするんだよ。」
「だから、触ってほしいの。あ・な・た・にっ!」
「俺は痴漢じゃないぞ。」
「分かってるわよ、そんなこと。私が触ってほしいだけなんだから。ねっ、お願いっ!」

そう言って、俺はまた男の手を掴んだ。そして今度は、体の前まで導いて胸にかぶせた。
そのまま男の手ごと、胸を揉む。男の手を上下左右に動かす。
胸の突起がブラウスに擦れてとても気持ちいい。
 

「あんっ!あっ・・・気持ちいいよ・・・お兄さん・・・」

俺は目をとろんとさせながら顔を見上げ、男の手を胸に押し付けて動かしつづけた。
男は力を抜いて俺の手の動きに任せている。

「どう、女子高生の胸の感触は?もっと触りたいでしょ。」

俺はブラウスのボタンを1つ外した。そして、男の片手を握りしめ、ブラウスの中に導いた。
俺のかわいい手と一緒に男の手がブラウスの中に消える。
男は、胸の感触に驚いたようだが、やる気が出たのか、すぐに俺の胸を掴んだ。

「あなたも手を動かしてよ。」

そう言って俺の手だけ、ブラウスから抜いた。
男の手は、ブラウスの中でゆっくりと動き始めた。
ブラウスに男の指の型が浮き上がる。
男は、俺の胸を円を描くように大きく動かした。男の指が俺の胸に埋もれているのが感覚で分かった。

「ああんっ・・いいよ・・お兄さん。もっと揉んでほしいな・・はぁ・・・」

俺は男を誘うようにそう言った。誘惑するその瞳に、男のもう片方の手が行動を開始した。
男は、スカートをじりじりと持ち上げ、パンティ越しにお尻を揉みだした。
強く掴んだ後、弱く揉む。そのいやらしい手つきに、俺はさらに快感を高めていく。

「ねえ、あんっ・・お尻じゃなくて、その下・・・ねっ・・・」

俺がそう言うと、男はパンティの中に手を入れ始めた。そして、お尻の割れ目に合わせて指を這わしはじめた。
ゾクゾクッと背筋に快感が走る。男の手はさらに下に進み、大事な部分まで辿り着いた。

「んあっ!・・はぁん・・・」

俺は腰を左右に動かして触られることから逃れるフリをした。男はそのしぐさに欲情したのか、
腰の動きに合わせて指を動かし、決して大事な部分から離そうとはしなかった。
電車の揺れも手伝って、男の指は俺を感じさせるのに十分だった。

「やぁ〜・・・ああっ・・すごい・・おにい・・さん・・すごく・・かんじるよ・・・」

男はその言葉をきっかけにして、中に指を入れ始めた。2本の指が第2関節まで入ってくる。
そして、俺の中でぐりぐりとかき回し始めた。
あまりの快感に、足がガクガク震えだす。男にもたれかかったまま、いいようにされつづける。
周りの人間は気付かないんだろうか、いや、気付かないフリをして俺の姿を見ているんだ・・・
俺は周りから見られているという妄想と、男の指の動きで気持ちよさが倍増し、
今にもイキそうな感じになった。

「あっ・・あっ・・あっ・・・そんなに激しく動かしちゃ・・・だめっ・・・んんんっ・・くぅ・・・」

俺の体は完全に快感に支配された。
声が聞こえないように、両手で口を塞ぎながら

「あっ・あっ・あっ・あっ・・」

と喘ぎ声を出している。目は潤んで周りがよく見えない。
男の手は、胸と股間で激しく動き回る。

「んんんっ・・・や〜っ・・あっあっあっ・も・もう・・だめっ・・・イッちゃうーーっ!」

男の背中にギュッともたれかかり、足をピンと伸ばす。
ブルッ、ブルッと体を震わせて、俺はイッてしまった・・・

自然に涙が零れ落ちる。あまりの気持ちよさに泣けてきたんだ。
男の手は、やさしく俺の体を這いまわっていた。心地よさと恥ずかしさが込み上げてきた。

「電車の中って、こんなに感じるんだ・・・」

俺はそう思いながら、男に身を任せていた・・・・


程よく次の駅に到着した。
成美さんが電車から降りるのが見える。

「あっ、ついて行かないと・・・」

俺は、仕方なく有紀ちゃんの体から離れた。もっと余韻に浸りたかったが、今日は別の目的がある。
成美さんの後を追いながら振り向くと、有紀ちゃんの意識が戻ったようだ。
男はまだ有紀ちゃんの体を触っている。
気付いた有紀ちゃんは、いつのまにか男に痴漢されていたので、急に恐ろしくなり
大声で泣き出してしまった。
周りの乗客が、男を射すように視線を送っている。

「ち、ちがうんだよ。彼女から誘ってきたんだ! 俺は何も悪くないんだっ!」

そう言い訳しているが、世の中そんなことで許されるはずもなく、すぐに警官がやってきて
二人を連れて行った。
あの男を犯罪者にしてしまい、ちょっと悪いことをしたと思ったけれど、まあ、あいつも堪能したんだから
いいだろうと、自分勝手な思い込みをしながら成美さんの後を追った・・・
 
 

成美さんは、ゆっくりと歩きながら駅前の繁華街を抜け、マンションが立ち並ぶ住宅街に入った。
そして、そのうちの一つ、茶色い10階建てのマンションに入ったのだ。

「金持ちの家かな。」

俺は、マンションの大きさに圧倒されながら、成美さんについていった。
最近のマンションは、セキュリティ管理がしっかりされているので簡単には入れないようになっている。
成美さんは、自動ドアの横にある装置の前に立った。
テンキーがついており、目的の部屋番号を押すことによって、その部屋の人とインターホンが
つながるようになっている。

「えーと、812っと・・」

成美さんは、テンキーで部屋番号を押した。しばらくして、スピーカーから声がした。

「はい。どちら様ですか。」

「あっ、家庭教師の藤堂です。」

「ちょっとお待ちください。」
 

自動ドアのオートロックが解除される。

「どうぞ。」

「はい。」

自動ドアをくぐった彼女は、エレベーターに乗り込んだ。

「8階だな。」

俺は先回りして8階のエレベーター前まで飛ぶことにした。
エレベーターに乗っても、置いてきぼりにされるからだ。
俺は壁をすり抜けて全速力で8階に上った。しかし、最近のエレベーターはかなり高速で、俺が8階についたと同時に成美さんがおりてきた。

「もうちょっと早く移動できたらなぁ。」

そんなことを思いながら彼女について行くと、812のプレートが見えた。
彼女はインターホンを鳴らした。

「はーい!」

ドアの奥から声がした。ガチャッという音と共にドアが開いた。

「こんにちは。」

「こんにちは、藤堂さん。さあ、どうぞ。」

どうやらこの家のお母さんみたいだ。やけに元気だが、30歳後半といったところか。

「おじゃまします。」

彼女は靴をきれいにそろえると、直接生徒の待つ部屋の前まで歩いて行った。

コンコンッ!

木製のドアをノックする。

「はい。」

「藤堂です。入っていいかしら。」

「あっ、どうぞ」

「おじゃまします。」

ガチャッとドアのノブを回し、成美さんが部屋に入る。
俺も彼女の後から部屋に入った。
6畳くらいの部屋だろうか、思ったよりも片付いている。
部屋全体が木材で作られていて、なんとなく暖かみを感じた。
2つの本棚にはマンガコミックと参考書がそれぞれ整然と並べられている。
黒いパイプベッドには、同じく黒いマットレスが敷いてあった。
俺の部屋のベッドは万年床になっているが、この子は布団をきちんと片付けているようだ。
まあ、親がかってにやっているのかもしれないが。

勉強机に向かっていた彼が、こちらを向いた。
いまどきの中学生にしては珍しく、黒い髪を七三分けにした、いかにもまじめな生徒という感じ。
これでメガネをかけていたら、マンガに出てくる生徒会長でもしていそうなまじめ青年だ。

「今日もおねがいします。」

彼は椅子をくるっと回し、体ごとこちらを向いてそう言った。

「はい、それじゃあ今日もがんばろうね!」

彼女は微笑みながら彼にやさしく話し掛けた。
彼の顔が少し赤くなったような気がする。目線をそらし、

「う、うん。」

と小さく返事をした。
成美さんは、参考書を取り出すと、今日の勉強範囲を話し始めた。
どうやら今日は物理らしい。数学でなくてよかった・・・

「今日はこの前の続きで運動エネルギーと位置エネルギーのとろこからね。
  私が出した宿題、やってる?」

「あ、うん。やったよ。でもこの部分が分からなくて。」
「どれどれ・・」

彼女は勉強机の横に立って、彼が分からないと言った問題を一緒に見ている。
髪をかきあげるしぐさが、なんともきれいだ。
蛍光灯の光が瞳に反射し、きらきらと輝いて見える。

「ここはね、こうやってこの公式を使うの。この値をここに代入して・・・」

成美さんは鉛筆でノートに書きながら、丁寧に教えている。
俺だってこんな風に教えてもらえれば・・・前にもどこかでこんなこといったような気がするな・・・
 

コンコンッ!

ドアをノックする音が聞こえた。

カチャッとドアが開き、母親がジュースとお菓子を持って入ってきた。
小さなガラステーブルにお盆から移したあと、お母さんは成美さんに話し掛けた。

「休憩しながらやってくださいね。守(まもる)ったら藤堂さんが来るのをいつも楽しみにしてるんだから。
  しっかり教えてやってくださいね。」

「はい、お母さん。」

「お母さんっ、いちいちそんな事言わないでよ!」

守の顔が、かぁっと赤くなった。

「はいはい、守はすぐに怒るんだから。じゃあ、頑張りなさいよ。」

お母さんは成美さんに軽く会釈すると、お盆を持って部屋から出て行った。

「ったく、うちの母親はいらないことしゃべりすぎなんだ。」

「いいじゃない、いいお母さんよ。いつもやさしくて楽しいし。」

「ぼくはいやだな。おせっかいだしいつまでも子ども扱いするし。ぼくだってもう子供じゃないんだ。
  ほっといてほしいよ。」

「ふふっ、お母さんにとって自分が生んだ子はいつまでたっても子供なのよ。守君だって
  もっと大きくなってお父さんになったらきっと分かるわ。」

「成美さんは分かるの?」

「うーん、少しくらいなら分かるわ。私がもし結婚して、子供が生まれたらやっぱりあなたの
  お母さんと同じようにすると思うけどな。」

「そうかなあ。」

「きっとそうよ。」

「ふーん、ぼく、成美さんの子供だったら良かったのにな。それなら何でも言うこと聞くよ。」

「ほんとにー?私の子供になったら後悔するわよ。ビシビシ鍛えるから。」

「いいよ、それでも。絶対に耐えられるから。」

「まあ。」

ハハハハッ

二人は楽しそうに笑った。守を見ると、とてもうれしそうな表情をしている。
俺は、なんとなく彼が普段はあまり笑わない子だと思った。きっと毎日同じリズムで生活を
繰り返している。学校でも目立つ存在ではなく、友達と呼べるような人はいないだろう。
家と学校を行き来するだけの生活。そんな生活をしている子供に、少しでも
楽しい時間を与えるため家庭教師を頼んでいるのだろう。それも女性の講師に。

「ねえ、今日は何時くらいまで教えてもらえるの?」

彼女は腕時計を見ながら、

「そうねえ、今、6時過ぎだから後1時間くらいかな。」

「ええっ!そんなに早く帰っちゃうの。」

「だって守君の家は7時くらいから夕食を始めるでしょ。それにあわせて帰るつもりだから。」
「一緒に食べていけばいいよ。お母さんに言っとくから。」

「だめよ。迷惑だし、そういうのはいけないって派遣会社で決められてるの。だから今日は後1時間だけ。」

「大丈夫だよ、誰にも話さないから。終わったら直接家に帰るんでしょ。」

「そうだけど、やっぱりね・・・1回それをやっちゃったら同じ事を繰り返しちゃうかもしれないから。」

「それでもいいじゃない。ぼく、お母さんに言ってくるよ。」

「あっ、守君!」

守は椅子から立ち上がり、急いで母親のいる台所に走っていった。
成美さんは半開きのドアを見ながら、ふうっとため息をついた。

「こんなんじゃ、家庭教師失格かな。」

そう言ってパイプベッドに腰掛けた。

「・・・ちょうどいいタイミングだな。」

成美さんは、パイプベッドに腰掛けて足を組んでいる。そして、両手をベッドについて顔を上に向け、天井を眺めていた。奥のほうで、守とお母さんが話している声が聞こえている。俺は、

「家庭教師をやるぞっ!」

そう意気込み、成美さんの後ろに回った。そして、背中のあたりから体をゆっくりと入れ始めた。

「えっ!」

成美さんの目が、くわっと大きく見開かれる。俺は彼女の体に徐々に進入する。
彼女の両手はマットレスをギュッと握り締めたままだ。
じわじわ体を進入させる。

「ぁ・・・ぅ・・・」

彼女の口から苦しそうな声が漏れる。
俺は最後に頭をめり込ませ、完全に彼女の体に入り込んだ。
そして、その瞬間、視界に天井が見える。俺は瞬きを2、3回した後、

「はあ・・・」

と息をついた。俺の口からは先ほどまで聞いていた成美さんの声が聞こえる。
シャンプーのいい香りが髪から漂ってくる。

「ゆっくり憑依するのは本人にとっては苦しいのかな。」

そんなことを思いながら、ベットから腰を上げた。
下を見ると、セーターに包まれた柔らかい曲線を描いている二つの胸がある。
セーターのVネックの襟元をギュッと引っ張ると、中には黄色いブラジャーしか付けていなかった。
右手を腰に当て、後ろを見るとカットパンツに包まれた形のいいお尻が見える。
俺は、少しせり上がったセーターを両手でギュッと下ろしたあと、守の机まで
歩いた。机の上には先ほどまで勉強していた物理の本が置いてあり、問題が
解きかけのままのノートを広げたままだった。
俺はノートをペラペラとめくった。そして、あるページでめくるのを止めた。
そこには成美さんへのメッセージが綴られている。

成美さん・・・
ぼくは成美さんの事が好きです。
成美さんさえいれば生きていけます。
だから、いつまでも家庭教師を続けてほしいな。
ぼくが働き出したら成美さんと一緒に暮らしたい・・・
どうかこのまま成美さんがぼくの家に来てくれますように。
 

「・・・うーん、やっぱり成美さんの事が好きだったんだな。」

俺は確信した。でも、成美さん自身は全く気付いていないだろう。

「今日は俺が成美だからな。守の気持ちを少しでもかなえてやるか。」

そう思って、ノートを元のページに戻した。
廊下からドタドタと足音が聞こえてきた。

「成美さん、お母さんも夕食一緒に食べようって言ったから。今日はいいでしょ。」

守は目を輝かせながら笑顔でそう言った。

「うーん、そうねぇ。今日は特別に食べちゃおうかな。」

成美さんのまねをして答える。

「やったぁ!」

「でも、今日だけだからね。」

「うん、分かってるって。」

「そう、それじゃあもう少し時間があるから今の問題、最後まで頑張ろうね。」

「はぁい!」

俺の言葉に有頂天になった守は、すごくやる気をだして問題を解いていった。
そして、次の問題を解きかけたとき、夕食の時間になった。

「守!ごはんできたわよ。藤堂さんも一緒に来てくださいな。」
と、お母さんの声。

「あっ、ご飯が出来たよ。」

「そうみたいね。それじゃ、食べに行きましょうか。」

「うん、行こっ!」

俺と守は、部屋を出て台所に向かった。
テーブルにはビーフシチューとサラダが並べられている。

「なんのお構いも出来ませんが、良かったらいっぱい召し上がってくださいね。」

「はい、ありがとうございます。とってもおいしそうなシチュー。」

「成美さん、早く椅子に座りなよ。」

「ええ。」

俺は守と横に並んで椅子に座った。正面にお母さんが座り、三人で夕食を取ることになった。

「今日は、お父さんはまだお帰りではないんですか。」

「ええ、残業らしくて少し遅くなるみたいなんです。いつものことですけどね。」

「へえ、大変ですね。守君もさみしいでしょ。」

「そんなことないよ。別に家にいたって構ってくれる訳じゃないし。」

「そんな事言っちゃだめよ。お父さんだって仕事で疲れて帰ってくるんだから。守君だって分かるでしょ。」

「そりゃそうだけど・・・お父さんの事なんかどうでもいいから早く食べようよ。」

「成美さん、何か飲み物、飲みますか?ビールならあるんだけど。」

「あっ、それじゃあビールを少し頂こうかしら。」

俺はビールをグラスに注いでもらい、一口飲んだ。
成美さんの体は、あまりアルコールには対応していないみたいだ。
すぐに酔いが回ってくる。

「いただきまーす」

みんなで言って食べ始めた。守のお母さんが作ったビーフシチューは結構おいしかった。
お酒が入っているせいか、食欲が出てあっという間に平らげてしまった。

「成美さんて、食べるの早いね。」

「そうかな?お母さんが作ってくれたビーフシチューがおいしいせいよ。」

「よかったらおかわりしてくださいね。まだたくさんあるから。」

「うーん、それじゃあ、あと少しだけ頂けますか。」

「ええ、守はおかわり要らないの。」

「ぼくはもういいや。お腹いっぱいになったから。」

「あんまり食べない子だね。はい、成美さん。」

「すいません。」

俺はまたビーフシチューを食べ始めた。

ピンポーン!

玄関のインターホンを鳴らす音が聞こえた。

「はーい。成美さん、ゆっくりと食べてくださいよ。」

お母さんはそう言って、玄関の方へ歩いていった。
どうやら隣に住んでいる人が来たらしい。
しばらく玄関で話をしている。

おれは横に座ってテレビを見ている守に話し掛けた。

「ねえ、守君。ほんとにもう食べないの?」

「うん。」

「おいしくなかった?」

「ううん、そんなことないよ。うちのお母さん、結構料理はうまいんだ。」

「そしたらもっと食べればいいのに。お腹いっぱいじゃないでしょ。」

「べつにお腹がいっぱいって訳じゃないけど。なんとなくもういいんだ。」

「そう。じゃあ、私が食べさせてあげよっか。」

「えっ、いいよ。そんなの。」

「いいからいいから。さあ、口をあけて。」

俺はいままで食べていたスプーンにシチューをのせ、守の口元に持っていった。
守にしたら、成美さんと関節キスが出来ることになる。
守は少し顔を赤くしながら、ゆっくりと口をあけた。

「あーん。」

俺は成美さんの口から甘い声を出した。
すると、守がさらに大きな口をあける。
スプーンを守の口に入れてやる。守が口を閉じたので、俺はスプーンを口から
そっと引き抜いた。

「おいしいでしょ。」

「うん。」

「じゃあ、こんどは私に食べさせてくれる?」

「えっ、うん、いいよ。」

俺は守にスプーンを渡した。
守は、俺のシチューをスプーンに入れ、口元に持ってきた。
俺は、

「あーん。」

といって成美さんのかわいらしい口をあけた。
守るが俺の口にスプーンを入れる。
俺はパクッとスプーンをくわえ込んだ。
守は緊張していたせいか、俺の口から勢いよくスプーンを引き抜いてしまった。
その拍子に、ポタポタとシチューが俺、つまり成美さんが着ているセーターの胸の部分に落ちてしまった。

「あっ、ごめんなさい!」

守が慌てて布巾を俺に渡そうとした。

「あらあら、セーターについちゃったわ。ねえ、守君。その布巾で汚れを取ってくれない?」

俺はわざと成美さんの胸に触れさせてやろうと思った。
背筋を伸ばし、守に体を近づけた。
守の目の前に成美さんの大きな胸が突き出される。
守は右手に布巾を持ったまま動揺している。

「守君。はやく拭いてくれないとセーターに染み込んで取れなくなっちゃうわ。」

俺は布巾を持っている守の右手を掴んで、強引に胸に押し付けた。
そして、そのままシチューをふき取るように守の手ごと、動かした。
守の手は、成美さんの胸に押し付けられた格好になっていて、その柔らかい感触が
伝わっているはずだ。俺は不意に、ブラジャーを外しておけばよかったと思った・・・
守の顔がみるみる赤くなってゆく。

何度か拭いたあと、胸から守の手を離した。俺は、セーターを見ながら

「よかった、シミにならなくて。守君、ありがとうね。」

と微笑んだ。

「うん。」

守は、少しはずかしそうに答えた。
そのあと俺は、おかわりしたビーフシチューを飲み干し、食事を終えた。
お母さんも、長話が終わったようで、じきに台所に戻ってきた。

「藤堂さん、あんまり遅くならないうちに帰ったほうがいいんじゃないの。
  ご両親が心配するかもしれないわよ。」

お母さんが、気を使ってくれている。

「ええ、大丈夫です。あまり遅くならないうちに帰りますから。」

「ねえ、成美さん。今日泊まって帰れば。」

「コラッ、守。藤堂さんを困らせるようなことは言わないの。」

「ちぇっ、つまんないなあ。」

「そんなこと言ってないで、早く教えてもらいなさい!」

「うん・・・」

守はしぶしぶ返事をした。

「さあ、守君。お腹がいっぱいになったことだし、もう少し頑張りましょうか。」

「うん!」

俺たちは、守の部屋に移動した。
 
 
 

守を椅子に座らせた俺は、机の横に立った。

「さっきの続きをしましょうか。」

「うん、えーとたしかこの問題の途中だから・・・」

「これをやっていたんでしょ。」

「あっ、そうだった。」

「もう、守君ったら。さっきやってた問題なのに〜」

そう言いながら、人差し指で守の背中をくりくりと押した。
守はピクッと体を震わせると、そのまま無視して問題に取りかかった。

「へへっ、かわいい奴だな。」

心の中でつぶやきながら、その場に両膝をついた。
腰を少し下げると、椅子に座っている守よりも若干低い位置になる。
その状態で、問題の解き方を教えた。

「この問題はね、参考書のこれに似てるでしょ。この公式を使えば
  簡単に出るよね。」

膝をついた状態で、少し前かがみになりながら守に教える。
Vネックになっているセーターの胸元から、ブラジャーに包まれた
成美さんの二つの胸が覗いている。
守の視線は、参考書よりも成美さんの胸元に集中している。
俺は、守の視線を感じながらも、そのまま問題の解き方を教えた。

「ねっ!簡単に解けるでしょ。」

俺は、守がほとんど聞いていなかったのを知っていながら、
わざとらしくそう言った。

「えっ、あっ、うん。わ、分かったよ。」

「ほんとに〜?」

「うん、大丈夫だから。すぐにやるから、後ろで座って待っててよ。」

「いいわよ。」

俺は後ろにあるガラステーブルの前に座った。
さっき、お母さんが持ってきてくれたジュースとお菓子がそのままの状態で置いてある。
お菓子を一つ口にほおばった俺は、さっき電車で乗り移った有紀ちゃんの時のように
背中のブラジャーのホックを外した。そして、肩の紐をそっと腕から外したあと、
参考書を持ってきたカバンに入れた。
守は机に向かって頭を掻き毟(むし)りながら問題を解いている。
俺はチラチラと守の方を気にしながら、ノーブラになった胸をセーター越しに触ってみた。
セーターの生地が指の形にへこんでいく。
成美さんの柔らかな胸の感触が、手に伝わってくる。
同時に、胸を触られている感覚が俺の中に現れた。
何人もの女性に憑依しているが、この感覚は、体が変わるたびにいつも新鮮に感じる。

「・・・・」

俺はしばし胸の感覚を楽しんだ。セーターの中に手を入れて直接揉んでみる。
守が振り向かないか、ドキドキしながら胸の突起を指で摘む。

「・・・ぅ・・・」

気持ちよくて、思わず声が出そうになるが、声を殺して気付かれないようにした。
下半身が、だんだん熱くなってくるのを感じ始めたとき、

「あ〜っ、ここ分からないなあ。」

守が根を上げて、頭の後ろに両手を回し、天井を見上げた。

俺は、もやもやした感じがしながらも、セーターの中から手を抜いて、守の後ろに立った。

「ちゃんと聞いてた?」

「んー、少し。」

「最後までとき方教えたでしょ。」

俺は、守の後ろに立ち、左手は守の左肩に置いて、背中に胸を密着させた。
そして、後ろから覗き込むように守の頭の横に成美さんの頭をくっつけた。
それから、右腕を守の前に伸ばして参考書の問題を指しながら、

「あのね、ここはこの参考書に載っている問題に使ってある公式を使うんでしょ。
  この部分の値を代入してから・・・・」

守の耳に、成美さんの声は届いていなかった。
左肩に置かれているきれいな手。
背中に感じる二つの柔らかな胸の感触。
耳にかかるシャンプーのいいにおいがする髪。
目の前で参考書を指している細くて白い指。

それらは、守の意識を束縛するのに、十分すぎた。

「・・・・・・ん」
「・・・もる君」
「まーもーるーく〜んっ!」

「・・・えっ、はいっ!」

妄想から現実へ戻ってきた守は、ビックリして答えた。

「ねえ、せっかく教えてるのに、ちゃんと聞いてくれなきゃダメだよ。」

「ご、ごめんなさい・・・」

「どうしたの?何か心配事あるの?よかったら私が相談に乗るわ。」

そう言って、机の横で女座りをした。そして、守を見上げるようにして話し掛けた。

「体ごとこっちに向いて。」

守は椅子を後ろに引いて、体ごと俺のほうを向いた。
俺を見下ろした守の視線は、Vネックの中にある胸に向いている。

「何か悩み事があるのかもしれないけど、その前にね。
  さっきから気になってたんだけど、ずっと私の胸を見てない?」

守の顔が、かぁーっと赤くなった。

「やっぱり見てたんでしょ。もう、エッチなんだから。」

追い討ちをかけるように、守に言った。

「あ、その・・・だって・・・す、すごく・・・」

「すごくなんなの。」

守はうつむいて、

「す・・すごく、すてき・・・だから・・・」

「私の胸が見たかったの?」

「う・・うん・・・」

ぼそっと小さな声で守は答えた。

「私の胸が見れたら一生懸命勉強する?」

守はやっと俺の目を見た。

「・・・うん。」

「じゃあちょっとだけ見せてあげる!」

俺はそう言って、守が見えやすいように、両手でVネックの襟元を引っ張ってやった。
その中には、ブラジャーで包まれているはずの胸が、何もつけていない状態で見えている。

守は声も出さずに食い入るように胸を見ていた。
守の視線に、成美さんの体が少し反応している。
何もしていないのに胸の突起が硬くなるのが分かった。

「どう?これで勉強する気になった?」

「・・・もう少しだけ見てていい。」
 

守は両手に拳をつくり、膝の上に置いている。かなり力が入っているのが分かる。
 

「今日は特別だからね。最初で最後よ。」
 

そう言って、膝に置いている守の右手首を掴んだ。
守の右手の力が抜ける。

俺は、やさしい目で守を見つめながら、右手をVネックの襟元から中に誘導した。
守は、あせってセーターの中でギュッと拳を作り、胸にあたらないように力を入れた。

「守君、大丈夫だから力を抜いて。」

「さ、成美さん。ぼく・・・」

「いいから。私の言うとおりにして。」

守は手の力をゆっくりと抜いた。
俺は、左手を下からセーターの中に侵入させた。
そして、襟元から入り込んでいる力の抜けた守の手の甲に自分の手を重ねて左胸に押し付けた。
守の指が、胸にめり込む。

「あっ・・・」

俺はわざとかわいらしい声を出した。
その声に、守の指がピクッと動いた。

「守君、手を動かしてもいいよ。」

俺は、セーターから手を抜いて、両手を女座りしている太ももの上に乗せた。

「でも・・・」

「さっきも言ったけど、こんなことするの、今日だけだから。守君が
  好きなように触っていいよ。」

守の指が動き始めた。恐る恐る動かす指は、ぎこちない感じだったが
それがまた不思議と気持ちいい。

「んっ・・・守君。左手も触っていいよ。」

俺は守を挑発した。

膝に置いてあった守の左手は、その言葉と同時に動き始めた。
少し窮屈なVネックの襟元から強引に進入し、右手と同様にもう一方の胸を揉み始めた。

「あんっ!はあっ・・・守君・・・私の胸、どう?」

「成美さんの胸、柔らかくてとっても気持ちいいよ。」

「んっ・・・そう・・・あっ・・そんなに・・・きもちいい?」

「うん、女の人の胸触るの、初めてなんだ。それに、成美さんの胸を触れるなんて夢見たい。」

「ああっ・・・よかったわ・・・守君、胸を触るの・・・んんっ・・・すごく・・・上手よ・・はぁ・・」

「成美さん、気持ちいい?」

「・・・・うん・・・きもちいいよ・・・えっ、あんっ!・・・そんなにつまんじゃ・・・ちょっと・・・ふあっ」

守は俺の胸の突起を摘み始めた。二つの突起を同時につままれた俺は、思わず仰け反ってしまった。

「気持ちいいんだね、成美さん。お母さんに見つかるから、あんまり声を出しちゃだめだよ。」

守はそう言うと、セーターの中から両手を抜いて、椅子をのけてしゃがみこんだ。

「成美さん、胸、吸ってもいい?」

守は、成美さんの胸を触って気持ちが高ぶっている。俺は、成美さんに申し訳ないと
思いながらも、この気持ちよさが続いてほしいという欲求には勝てず、

「・・・いいよ。」

と答えてしまった。
そして俺は、太ももに置いていた両手を後ろの床についた。
守は無防備になった成美さんの胸を吸うべく、セーターを胸の上まで捲し上げた。
成美さんの形の良い胸が守の目の前に現れる。
守は息を荒くしながら四つん這いになり、成美さんの左胸の突起を口にくわえ込んだ。

「あっ、はぁ〜ん・・やだっ・・・舌でそんなに転がさないで・・・うあっ・・・あっ・・・」

守は舌を固くして、突起をコロコロと転がした。そして、やさしく歯で噛んだり、
強く吸い付いたりしている。

「あっ・あっ・・・だめっ・・・くっ・・はっ・・・・はぁ・・・」

俺はあまりの気持ちよさに声が殺せなくなってきた。
天井を見ながらその快感を体全体で感じていた。

体を支えている両腕の力がだんだんと抜けてきて、ついに崩れてしまった。

守は、崩れた俺の体の上に四つん這いのままのっかかってきた。

そして、こんどは逆の胸を吸い始めた。
先ほど感じたのとは違う、新たな快感が俺を包みこむ。
俺は足をくねらせながらその快感に必死に耐えた。
声が出ないように両手で口を押さえる。

守はもうやりたい放題になっていた。口で胸をくわえながら、もう片方の胸を手で揉みまくる。
円を描くように動かしてはプルプルと震わせたりする。
俺は頭の中で、こいつはAVビデオの見すぎだぁと思ったが、そんなことはどうでも良かった。
もう、胸だけでイってしまいそうになっていた。

「ふぅ〜ん・・・・だ・・だめっ・・まもる・・・くん・・・ちょっと・・・まって・・・」

「いいでしょ。今日だけなんだから。ぼくの好きなようにさせてよ。」

「んっ・・・んっ・・・ま、まもるくんにも・・・いいこと・・してあげる・・・あっ・・・から・・」

俺は体をグッと起こした。カットパンツの中の股間がヌルヌルとしているのを感じた。
たぶんパンティはだいぶ濡れているだろう。

「守君、椅子に座って。」

守を座らせた俺は、彼のズボンのボタンを外し、チャックを降ろした。
いまどき珍しく、ブリーフを穿いている。
俺はブリーフの前を開けて、中から大きくなっている守の相棒を引き出した。

「はじめてでしょ、こんなことされるの。」

俺はそう言って、守の相棒を口に含んだ。

「うあっ!」

守はその気持ちよさに思わず声を上げ、驚いている。
俺は自分がされたら気持ちいい様に、守の相棒を弄んだ。
一気に根元まで加えて、喉の奥で締め付ける。
舌を硬くして頭を転がす。
吸い付きながら出し入れする。

「んっ、んっ、んっ、どう?気持ちいいでしょ。」

守は相棒をピクピクさせながら、

「うっ、うっ、すごいよ、成美さん。もう、だめだっ!」

その言葉を聞いた俺は、相棒を口から出した。

「はあっ、はあっ、はあっ」

守の口からよだれが垂れている。

「ねえ、次はどうしたいの?」

俺はカットパンツの上から指で股間をさすり、守に問いかけた。
守には未知の世界。AVビデオで見たことあるけど、勇気が無い。

俺は、また両膝を床について、カットパンツのボタンを外し、ファスナーを降ろした。
ファスナーの間からピンクのパンティが見えている。

「守君も知ってるでしょ。この中がどうなってるか・・・」

膝の間隔を開いた俺は、右手をパンティの中に忍ばせた。
右手の行きついた先は隠れて見えないが、その手の動きは
カットパンツの上からでもよく分かった。
それは、男なら誰でも欲情するしぐさだった。

「んあっ・・・んんっ・・・いいっ・・・あっ・・・はあっ・・はあっ」

いやらしく切ない声、左手は胸を揉み、右手はパンティの中。
あこがれの成美さんが、一人で楽しんでいる。

「あっ・・・ね、ねえ・・まもるくん・・・どうするの?」

俺は守を誘う。
守の相棒はもうはちきれんばかりになっている。

「成美さんと・・・したい・・」

守が答えた。

「ふふふっ」

俺は立ち上がり、ベッドの前まで歩いた後、カットパンツとパンティを膝までずらした。
そして、ベットに両手をついて、守の方にお尻を突き出した。

「守君。こっちに来て。」

俺は後ろを覗き込むようにして守に話し掛けた。
守は椅子から立ち上がり、俺の後ろまで歩いてきた。
俺は、足を開いて、股の間から手を伸ばし、ブリーフから覗いている守の相棒を掴んだ。

そして、

「ここに入れるの。」

そう言って、守の相棒を俺の中に導いた。

「ああっ!」

ヌプヌプッと守の相棒が俺の中に入った。

「はあっ、成美さん。ぼく・・どうしたらいいの?」

俺は自分から前後に体を動かした。
守の相棒が俺の中を前後している。

「んっ・んっ・・こうやって・・まもるくんの・・・あっ・・・おおきいのを出したり入れたりするの・・・
  ねっ・・・きもち・・いいでしょ・・・あんっ!」

俺は守に腰を動かすように言った。守は両手で俺のお尻を掴んだ後、
ゆっくりを腰を前後に動かし始めた。

「あっ・・・あっ・・・あっ・・・そ、そう・・・そうやってもっと・・・はやくうごかして・・・」

守は言われたとおり、早く腰を動かした。
成美さんのお尻は、守のお腹にあたるたびにパンパンと音を立てた。
その音がなるたびに、俺の口から感激の声が漏れる。

「あっ・・あっ・・あっ・・いいよ・・まもるくん・・すごい・・・あんっ・・あんっ・・」

守は要領を得たのか、自然に腰が動くようになってきた。
余裕が出てきたのか、お尻を掴んでいた手が胸に伸びてきた。
胸の突起は既に硬くなっていて、守の指はその突起をずっと摘んでいる。
守が動くたびに、突起が引っ張られ、そのたびにじんじんと気持ちよさが伝わってくる。

「な、成美さん!・・成美さん!」

守はなんども名前を呼んでいた。俺はベッドに頭をつけて、マットレスを握り締めていた。
あまりの気持ちよさにどうすることも出来ない。

「あんっ、あんっ、あんっ、やあっ・・・はぁん、はぁっ、はぁっ、んんっ・・あっ・・」

マットレスに顔をうずめながら、湧き上がる快感に悶え、足がガクガクと震えている。

「うっ・・成美さん、ぼく・・もうだめだ・・・イキそうっ!」

「あっ、あっ、あっ、そ・・そとに・・・ああっ・・そとにだしてっ・・・うあっ・・あああっ」

守が最後の力を振り絞り、腰を動かした。

「ぐっ・・・だめだっ・・・イクッ・・あっ!」

「あ、あ、あ、あ、ま、まもるくんっ、うああっ、んあああああああ〜っ」

俺の背中に大量の液が飛び散った。

俺はその場に崩れ落ち、守も息を切らしながら座り込んだ。

成美さんの体の中からは、まだ快感が湧き出てくる。


しばらくその余韻に浸ったのち、守に話し掛けた。

「守君、はじめに言ったけど、今日が最初で最後だから。もう二度としないから。
  分かってくれるよね。」

「うん、分かったよ。成美さんの気持ちが変わるまで待ってるから。」

「もう、私の気持ちは変わらないの。私の気持ちじゃないんだから。」

「どういうこと?」

「ううん、なんでもないの!気にしないで。」

俺はそう言って、ティッシュで背中についた液を拭い取った。
二人は服装を整えたあと、テーブルのお菓子を食べながら、しばらく話をしていた。

二人は全く気付いていなかった。ドアの向こうには、ずっとお母さんの影があったことを・・・

「もう8時半ね。そろそろ帰らないと。」
「そうだね。今日は遅くなったけど楽しかったな。」
「守君の楽しかったのは、私とエッチできたからでしょ。」
「そ、それだけじゃないよ。色々と楽しかったんだ。」
「そう、そういうことにしといてあげるわ。勉強も頑張らないとだめよ。」

俺はそう言って、玄関に向かった。
お母さんも見送ってくれたが、なんとなく冷たい感じがした・・・
 
 
 

「さて、目的は達成したし、成美さんの体を返すとするか。
  でも、いきなりここで体から抜け出してもまずいか。」

そう思った俺は、かばんの中から財布を取り出した。
思ったとおり、財布の中には免許証が入っている。

「えっと、この住所なら分かるな。」

俺は成美さんの体を家まで届けることにした。
電車を乗り継ぎ、家の玄関前に着いたのときには10時過ぎになっていた。

「成美さん、ありがとな。」

そう言って、成美さんの体からそっと抜け出した。
成美さんは、体の力が抜け、玄関のドアにもたれかかったが、すぐに意識を取り戻した。

「あれっ。えっと・・・?  何で家の前にいるの・・・えっ?もうこんな時間!」

外は真っ暗になっているし、守の家に行ったつもりがいつのまにか自分の家に
戻っている。なにがなんだか分からないまま、とりあえず家の中に入っていった。

「・・・まあ、なんとかなるか。」

そう思って、俺は家に戻った。
 
 

その後、成美さんが守の家に行くことは2度と無かった。
一部始終を聞いていた守のお母さんが、契約を解除したのだ。
守はひどく落ち込んでしまったが、新しく家庭教師となったやさしい大学生(男子だが)
に、勉強以外のことまで色々と教わり、徐々に明るさを取り戻していった。
一方、成美さんは自分がなぜそんな行動を取ったのか理解できないまま、
派遣会社から厳重注意を受けた後、別の生徒の家庭教師を始めていた・・・
 


「おい、志郎。家庭教師はどうだったんだ?」

「まあまあだな。」

「まあまあってどういう意味だよ。」

「教える生徒にもよるって事だよ。」

「おまえが教えたってのは、どんな生徒なんだ。」

「博和が期待しているような女子生徒じゃないって。」

「ふーん、でも志郎が憑依したのは女なんだろ。」

「そ、そうだけど。」

「へへっ、それなら生徒が男でも女でも関係ないな。」

「何でだよ。」

「やったんだろ、その女の家庭教師の体で。」

「・・・・」

「そらっ、やっぱりやったんだ。どっちみちおまえはそこにたどり着いちゃうのさ。
  でもな、おまえは男だから今のようには行かないぞ。」

「博和に言われなくったって分かってるよ。」

「どっちみち家庭教師はダメだと思ったんだろ。」

「まあな。」

「そしたら次はどうするんだよ。」

「まだ考えてない・・・」

「はぁ〜、おまえの選択肢、めちゃくちゃ狭そうだな。」

「ほっといてくれ!」

また振り出しに戻った俺は、博和にどやされながら
新しい職探しを始めるのであった。

つづく
 
 
 

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    ・本作品についての、あらゆる著作権は、すべて作者が有するものとします。
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