僕は忠雄。今年で18歳になる。とある私立高校に入学した。
今は大学受験のために一人でアパートを借りて勉強している。
先日、気晴らしにインターネットをしていると、
変わった通販のページを見つけた。

「あなたのほしい物が必ずあります。
代金は気に入って頂けた方がお支払いください。」

そう書かれていた。どんな商品があるのかいろいろと調べてみると、
通常では考えられないような物がずらりと並んでいた。
その中のひとつに、僕の目を奪った商品があった。

「PPZ-4086」・・・この薬を飲むと、幽体離脱することが出来ます。

僕は小さいころから他人になりたいという気持ちがあったので、この薬を注文することにした。
この薬の価格は3万円。アパート暮らしの僕にとっては高い値段だが、
気に入らなければ払う必要がないのだ。
とりあえず購入ボタンを押した。
すると、ドアをトントンとたたく音がした。
「誰だろう?」僕はドアを開けた。すると宅急便だった。
「荷物をお届けに参りました。こちらにサインをお願いします。」
僕はサインをして小包を受け取った。配達人が帰った後、
早速中身を見てみると、なんと今注文した薬が入っていた。
「どういうことだ・・・」不安にかられながらも、僕は薬の説明書を読んだ。

・・・PPZ−4086・・・

この薬を一粒、水といっしょに飲んでください。あなたの体から魂だけが抜け出ます。
効果は5時間です。効果が切れると自動的にもとの体に戻ります・・・
 
 
 
 
 
 

必殺の薬「PPZ-4086(修学旅行にて)」・・・第1話
 
 
 
 
 
 
 

親友の康司が好きだというあの「中井由樹」に乗り移ってから早数ヶ月・・・
僕はバイトをしながら一生懸命お金を貯めていた。
もちろん「PPZ−4086」を買うために。

1つ3万円・・・・・

気に入らなければ代金は払わなくてもいいと書いてあった。
でも、手に入れるためにはお金を払わなくてはならない。
だって、気に入らない人が何度も買うはずがないのだから。

ひぃ〜ひぃ〜働いても1ヶ月のバイト代はせいぜい3万円・・・
結構きつい仕事をしてるんだけどなあ・・・
ただ、親からの仕送りがあるから普段の質素な生活の中では
このお金を使う必要が無いんだ。
だから、全てのバイト代を貯金する事が出来る。

んっ?
貯金などせずに、どうして3万円ですぐに買わなかったのか?

それは、もうすぐ始まるイベントのため・・・
そう、修学旅行で使いたいからっ!

修学旅行までは絶対に使わない・・・
そう心に決めた僕は、5個購入する事を目標に頑張ってバイトしたんだ。

5個だから15万円・・・

さっきも言ったけど、大学受験のために必死に勉強している僕としては、
かなりつらい金額。
でも、3泊4日の修学旅行を楽しむためにはこのくらいは
持っておきたい。
まだ計画は立ててないけど、きっとこのくらいあった方が
いい。でも、出来ればもっと手に入れたい・・・
 

最後の修学旅行なんだから・・・
 

生活費も出来るだけ使わないようにして、購入費に全てを貯金する。
コンビニで弁当買うのやめて自炊しよう。
少し友達付き合いも悪くなったかな・・・たまにはカラオケにでも行かないと。
服は去年買ったやつがあるから十分か・・・
普段の生活は楽しくなかったけど、徐々に貯まるお金を見ていると
すごくドキドキする。
 
 

そして4ヶ月と少し・・・
 
 

・・・手元には、1万円札が15枚ある。
僕は、目標としていた5ヶ月に到達する前にお金を貯める事が出来た。
 

忠雄:「・・・・これで、あの薬を5個まとめて買えるぞ・・・・」
 
 

インターネットに接続するお金も惜しかったから全然やっていなかったんだけど、
あの薬を注文するため久しぶりにパソコンを起動する。

そして、ブックマークで登録していたあのサイトにアクセス!
画面表示されるのが何とも待ち遠しい。
まだ購入するだけだというのに、こんなに胸がどきどきするなんて。

これから先の出来事が僕の鼓動を早くしているのか?

そんな事を思いながら、僕は徐々に現れる画面を食い入るように見つめた。
 

んっ!デザインが変わっている・・・

一瞬別のサイトに変わってしまったのかと思ったけど、
よく見ると前と同じサイトのようだ。
リニューアルしただけみたい・・・

僕はホッとして、目的の薬を探す事にした。
この数ヶ月で、また新しい物が増えているようだ。
でも僕はそんな物には見向きもせず、ただ「PPZ−4086」だけを
探した。
 

忠雄:「えっと・・・・あ、あった!これだっ!」
 
 
 

「PPZ-4086」・・・この薬を飲むと、幽体離脱することが出来ます。
ただいまキャンペーン中につき、1つ購入するともう一つおまけについてきます。
 
 

忠雄:「・・・・へっ?」
 

もう一度読みなおしてみる。
 

忠雄:「・・・ほ、ほんとに?」
 

僕は何回も読みなおしたけど、その文章は全く変わらなかった。
どうやらキャンペーン中ということで、半額になっているようだ。
 

忠雄:「じゃ、じゃあ今なら15万円で10個も手に入るってこと!」
 

・・・・と、考えてはいたけれど、すでに僕の右手は
5個(キャンペーン中につきおまけ5個つき)の
チェックボックスにチェックを入れて、購入ボタンを押していた。

前の時と同じように、すぐにドアを叩く音がする。
宅急便のようだ。
どうしてこんなに早く来る事ができるんだ?

僕はすぐさまドアを開けてサインをした後、
数えなおしてから1万円札15枚を手渡す。
 

「ありがとうございました。」
 

配達人が帰っていくと、ドキドキしながらごそごそとダンボールを開ける。
前と同じ薬・・・・「PPZ−4086」だ。
 

忠雄:「やった・・・10個ある・・・」
 

まさか10個も手に入れられるとは思っていなかった・・・
これだけあれば修学旅行を存分に楽しめる!
 

この日から、僕は修学旅行の予定表を参考にして
色々と計画を立て始めた。
薬は10個もあるんだ。単純に言えば10人の女性に
乗り移る事が出来るという事!

どのシーンでどんな女性に乗り移ろうか・・・

こんな楽しい悩みなら毎日していたいものだ。
 

忠雄:「今夜は眠らずに計画を立てよう・・・」
 

僕は、頭の中に浮かび上がる身近な女性の名前をノートに一人一人
書いていった。
書いている手が震えて、どうしてもミミズ文字になってしまう。
それほど僕は感動していたのだ。
こうやって書いていく名前を持つ女性たちの素晴らしい身体を
自分の支配下に置く事が出来る。

なんて素晴らしい事なんだ・・・・

とにかく僕は、乗り移りたい女性の名前を5人書いてみた。
10人書いてしまうと、修学旅行の行き先で出会う可憐な
女性たちに乗り移る事が出来ないから!
 

忠雄:「よ、よし・・・・この5人をターゲットにするぞっ!」
 

僕はこの5人に対し、どのシーンで乗り移るかを考える。
薬の効き目は5時間。
きっと、寝ている時を除いて、一人の女性に5時間も乗り移る事は出来ないだろう。
それぞれの女性に乗り移っている時間は少ないかもしれないけど、
その時間内を充実したものにするため、僕は色々と考えた。

煩悩が僕を突き動かす。

彼女達でどう振る舞おうか・・・・

友達をからかうのもいいだろう・・・
そして、誘惑するのも面白いかもしれない・・・
相談相手になってやるか・・・・
それとも弱みに付け込んで・・・・
う〜ん、やっぱり女の気持ちよさをまず味わうのが一番かな・・・
 

忠雄:「ああっ!考えがまとまらないっ!」
 

僕はやりたい事が多すぎて頭が爆発しそうになった。
どんな事だって出来るのだから・・・
 

忠雄:「う〜ん・・・今日は興奮しすぎてまとまらないや。
         また明日考えよう・・・」
 

そう言うと、忠雄は枕もとに薬を置いて眠りについた・・・
 
 
 
 

時は過ぎ、修学旅行当日・・・・
 
 
 

考えれば考えるほど深みにはまったけど、何とか計画を立てることができた。
重い大きなバッグには、着替えと一緒にPPZ−4086が大事に9個入っている。
そして、服のポケットに1つ・・・

着替えなど、必要なものは全てそろえたあとドアのカギを閉めてアパートを出る。
すがすがしい朝の空気が、僕のこれからの楽しい時を祝福してくれているようだ。
いや、どんな事、どんな物だって、僕を優しく見送ってくれるような気がする。
僕は大きく息を吸い込んだ後、これから起こる素晴らしいイベントに心躍らせながら
学校に向かったんだ・・・
 
 
 
 
 

必殺の薬「PPZ−4086(修学旅行にて)」・・・第1話・・・終わり
 
 
 
 

あとがき

う〜ん、話を広げすぎか・・・
あとあと苦しい展開になりそうな予感が(^^;
とにかく、第1話ということで書いてみました。
忠雄君、少し性格変わった?
始めはこんなじゃなかったような気がするんだけど・・・
まあ、一度女性の身体に乗り移ってしまったのだから
新たな欲望が出てくるのも、年頃の男の子なら仕方の
ない事かなあと・・・

今回は忠雄君一人だけしか登場しなかったので、
忠雄君の言葉(?)で表現したのですが、
次回から複数の人が登場すると思うので、いつもどおりの
書き方に戻るでしょう。
いつになるか分からないのですが・・・

修学旅行の行き先ですが、今のところ「北海道」になる予定です。
飛行機で2時間ほど飛んでから、バスでいくつかの場所を見学。
3泊4日なので、ホテルには3回止まる事になりそうですね。
ホテルでは、毎回違うシチュエーションで話が書ければいいなと
思っています。

では第1話はこの辺で。

それでは最後まで読んで下さった皆様、ありがとうございました。

Tiraでした。
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