火曜日―水曜日 夢の中の陵辱(その4)


「あ! 下のお口が大好きな彼のおち○ちんにキスしてきたわよ♪ すごい積極的ねっ」
「あう、お願いします。これ以上しないでっ。女の子じゃないのにっ、やだっ入れないでよっ!」
 凛太郎は膣にぐっと力を入れた。ペニスが入ってこないように。しかしそんな事はするだけ無駄だった。
「だめよ。素直じゃない女の子には、素直になるように注射しないと。淫乱なまんこにね」
 いいながら魔物は腰を進めてくる。凛太郎はこれまで感じたことのない圧迫感を膣に感じた。
「あ、あ、あ、や、はいらないでっお願いっ、やだっそんなっ、あううぅん!」
 ゆっくりと丸々とした亀頭が、凛太郎の身体に入っていく。その圧迫感は指の比ではなかった。
「いやぁん、きみの膣って柔らかいけどしっかり締め付けてくるわよお。気持ちいいわぁ」
 肉欲に駆られ、魔物はその美しい顔を上気させながらうっとりとし、凛太郎の身体をじっくりと味わっている。凛太郎は進入してくる熱く、太く、硬い「修一」を感じ、その圧迫感と受け入れてしまった事への罪悪感と、そして目も眩むような快美感に翻弄されていた。
「くぅん、あふっ」
 小さな赤い唇から、熱い吐息が洩れてしまう。感じないようにと思っても凛太郎の奥へ奥へと突き進む「修一」は、膣から子宮へ、子宮から脳へと快感を伝えてくる。
(修ちゃんの、あついっ、修ちゃんのおちん○んがっ、修ちゃんが僕の中にっ……)
「ほぉら、痛くないでしょう? 本当はこの辺に処女膜があるのよ。でも簡単に通過しちゃったわね」
 凛太郎にはそれがどこなのか見当も付かなかった。そして自分の中に「修一」がどこまで入っているのかも。ただ灼熱の肉の塊が与える、指とは違った感触だけを感じていた。
「やだっ、もう、入んないっ、おなか、くるしっ。ああっ、まだ? 入るのっ?」
「彼、いいモノ持ってるわよ。ながくてふとくて。きみの淫乱ま○こにはほんとお似合い。感じるでしょう? 彼を。今きみを犯してるのは彼自身なのよ」
 魔物は「修一」を半分だけ凛太郎に差込んだまま、器用に上半身を凛太郎の上にかぶせた。大きな二つの乳房が、凛太郎の胸をくすぐる。
「これっ修ちゃん? ああんっやだっ気持ち、いいっ! 僕、僕、修ちゃんにぃ!」
 修一が自分を貫いている。そう思った瞬間に、凛太郎の心の中で修一への想いがはじけていた。
「そうよ、いいコね。彼を感じて、イキまくりなさい。身体で覚えるの。彼のお○んちんを受け入れると気持ちいいって。たくさん彼に強請っていいのよ、ぼくの淫乱な穴を使って気持ちよくなってって」
 魔物はいきなり、残りを突き込む。亀頭が凛太郎の子宮口を突くと、凛太郎の腰が跳ね上がった。
「ひぃああぁん、ああっ、ダメぇ〜っ、いくっいくっうぅ!」
 凛太郎は快楽の大きなうねりを捕まえるように、ぎゅっとシーツを掴む。涙で濡れた長い睫に彩られた目を瞑り、膣内に収まっている「修一」の形を瞼に描く。動かないはずの身体が、その時のためだけに動き、腰を大きくそらして、より深く「修一」を受け入れようとしている。そして、つま先まで力を入れた身体が、びくっびくっと痙攣を始めた。
 魔物はペニスから膣の痙攣を感じ、陶酔の混じった満足そうな表情を見せていた。
「あらあら、奥まで入れただけなのにイッちゃったの? 淫乱なま○こ持っていると大変だわね。すごい締め付けられて、あたしも気持ちいいけど。ほら、解る? 入り口と奥の方で別々にうねうね動いてるの」
 下半身はぴったりと魔物と凛太郎の恥骨同士が触れ合っている。上半身は重たい魔物の乳房が凛太郎に乗っかってきている。そして魔物は凛太郎の耳元で囁いていた。
 入れられただけでイってしまった自分。それも修一のペニスで。初めてなのに全く抵抗が無く受け入れてしまった自分を否定したかった。これ以上「修一」を感じながら快楽を貪るなんてしたくなかった。でも、膣内をみっちりと占めている「修一」に堪らない安心感も持っていたし、耳元で囁かれると再び欲望の炎が燃え上がってしまう。
「もう、やだぁ、修ちゃんでイクのやぁ……。ゆるしてぇよおっ……」
 駄々っ子のように首を振り、髪についた汗が飛ぶ。自分の身体が尚もきゅうきゅうと「修一」を締め付けている事を認めたく無かった。そしてその一点に集中していたが為に、自分で首を振る事が出来るという事実に気付かなかった。
 魔物は無言で両手を凛太郎の腋の下に入れ、肩に手を掛けしっかりと凛太郎を抱きしめる。凛太郎の潤んだ瞳に大きく魔物の顔が映った。
 クスッと魔物が笑ったかと思うと、そのまま凛太郎にキスし始める。
「む〜〜っ」
 凛太郎がいやだと叫ぼうとしても、くぐもった声しか出てこない。咄嗟に腕で魔物を押し返そうとした時、やっと身体の一部が動く事に気付いた。
 がっちりつかまれている肩を振り解こうともがきながら、あまり力の入っていない手で魔物の肩を押し返す。その時、お腹の辺りから新たな刺激が生じた。
「んん〜っ!」
(ああっ、やだっ、出て行かないで!)
 魔物が腰を引き、ペニスを半分くらいまで抜くと、大きく張った傘の部分が凛太郎の膣壁をぐりぐりと刺激する。一度高ぶった性感はその感触に容易に反応してしまう。思わず凛太郎は魔物の肩を押していた腕を背中に回し、開いていた足を腰に回していた。逃げていく「修一」を追いかける為に。
 魔物は自分の身体に絡みついた凛太郎の腕と足に、満足そうに凛太郎を見、そして目で笑った。凛太郎の上の口を堪能していた口を離す。
「きみの言う通りにこれ以上しないようにと思ったのに。きみがしがみ付くから出て行けなくなっちゃった」
 凛太郎がした行為を判らせるように、ちらっと肩を持つ凛太郎の手を見やる。凛太郎はハッとして真っ赤になりながら顔を背け、手と足を外そうとした。
「きゃぅっ!」
 いきなり魔物が、「修一」を凛太郎の奥まで一気に貫いた。その痺れるような快感に凛太郎は自ら魔物にしがみ付いた。
 そのまま魔物はペニスを抽送を開始した。二三度出し入れされると、凛太郎は急激に高まってくる自分が怖くなった。
「あ、またっ、くるっ、やだっ、こわいよっ、またイクっ!」
 頭の中で「修一」のイメージだけが膨らみ、それ以外は考えられなくなる。キュッと目を瞑ると暗くならず真っ白になる気がして、簡単にイッてしまう。
「怖くなんてないのよ。きみをイカセてくれてるのは大好きな彼のおちん○んなんだから。もっと、イキなさい。ほらっ」
 魔物は凛太郎を休ませる事無く、水を得た魚のように腰を振っていく。時に速く、遅く、上をついたかと思えば下を、横を。そして奥かと思えば浅いところを。丹念に。その度に凛太郎は嬌声を上げた。
「んあああっ、やぅ、イクっ、修ちゃん、イッちゃうよおっ」
 凛太郎は抗う術も無く、「修一」から与えられる甘美な刺激の波に完全に飲み込まれていた。
 一突きされる度に軽くイッてしまいそうになる。膣とペニスが奏でる「ぐちゃ」とか「ぴちゃ」と言う濡れた音が、いやに近くで、凛太郎の頭の中で響いていた。
「ほら、聞こえてる? きみのまん○から染み出てくるジュースと、彼のおちん○んから滲み出てくる汁が交じり合ってるの。いやらしい音だわ。ゾクゾクしちゃう」
(しゅうちゃんとぼくのがいっしょになってるおとぉ)
 「修一」が膣で縦横無尽に暴れまくる。その快感でトロトロになった思考は、段々と魔物にくっ付いているだけの「修一」から「修ちゃんのお○んちん」へ、そして「修ちゃん自身」が自分を抱いている錯覚に陥ってきた。
「あはっ、しゅうちゃあん、ぼく、またイッちゃ、ああん、イクぅうっ!」
「そうよっイクのっ! 彼がきみを抱いてるのっ。きみのやらしい穴が彼の太くて逞しいおち○ちんを銜え込んでるときだけっ、寂しくないのよっ。このおち○ちんでイカサれた時だけよっ心が満たされるのはっ!」
「あっ、あン、やっ、はっ、いっ、くぅっ……」
 魔物が腰を打ち付ける度に、凛太郎の口から喘ぎ声が洩れる。突き込まれながら、もう何回目か解らない絶頂を迎えていた。
 緊張と弛緩の連続。そして性的な興奮。凛太郎の顔は汗と涙と涎でべとべとになり、身体も汗だくだった。下半身は愛液と先走り汁が混ざったものと汗が一緒になり、シーツをべチャべチャにしていた。
 ふっと魔物の上半身が凛太郎から離れた。腰はゆっくりと振られ、大きなペニスはぬらぬらとした光を帯びながら、凛太郎の膣の浅い部分を出入りしている。
 凛太郎は急に圧力が無くなり、心細くなってしまった。もっとしっかり抱きとめて欲しい。そんな心理が働き、つい魔物の身体を手でつかもうとしてしまう。
「あ、やあだぁ、はぅん、離さないでよぅ……」
 正気の凛太郎だったら、絶対言わなかったろうけれど、素直に身体の寂しさが言葉となって出ていた。
「ふふっ。随分素直になったわね。きみはどうして欲しいの? もっとイカセて欲しい? 彼が欲しい? きみは男の子だけど、彼が欲しいの?」
 ついさっきまで激しい刺激に耐えていた凛太郎の神経は、ゆっくりした動きを物足りないものと判断していた。
「欲しいっ。もっとっ、もっとイキたいっ、修ちゃんのおち○ちんが欲しいっ。早くっ、もっと激しく突いてよおっ」
 凛太郎は下から腰を突き上げ、自ら刺激を求めて行く。しかし魔物はその度に腰を離してしまう。
「どうしてっ? なんで?」
「はっきり言いなさい。ぼくは男の子なのに女の子の身体を使って親友のおちん○んが欲しい淫乱なコなんですって。親友に自分の穴を使って欲しいって。お○んちんぎゅーっと絞めて扱いてあげたいんですって。ちゃんと認めるなら最後にすっごいのしてあげる。言わないなら帰るわ」
「ぼ、僕今言ったよ? 修ちゃんのおち○ちん欲しいって。ちゃんと言ったよっ。だからっだからっ」
 身体の疼きと心の切なさを、早く「修一」で埋めて欲しい。凛太郎の考えはそれだけになっていた。
「ダメね。肝心な事言ってないわ。きみは男の子だって忘れてるみたいね。男の子が彼のおち○ちん欲しがるの? それって異常じゃない? こんな淫乱で自分勝手なコに好かれちゃって、彼も可哀想だわね。ほら、おちん○んもそう言ってる」
 凛太郎の深層心理にあった修一への信頼と依存が、彼のペニスを受け入れた事で凛太郎の中で大きく変化していた。知りたくなかった想い。女の子として好かれたいと言う想い。しかしそれは魔物が言った言葉によって、また心の奥底へ沈んでいく。
「僕、そんな、だってっ、女の子に、なってて……」
 自分の性別が果たしてどちらなのか、男を求める浅ましい自分が本当の姿なのか、凛太郎は混乱していた。
「違うわよ。きみは男の子だって自分で言ったの。でも身体と心に負けたの。彼のおち○ちんが欲しいって。それを肯定しようとして女の子「でも」いいって思ったのよ。彼のお○んちんも、そんな中途半端なヤツやだってさ。ほら、萎えちゃった」
 にゅぽっと音を立てて凛太郎の膣から抜かれた「修一」は、だらしなく垂れ下がっていた。
 凛太郎は欲情と修一に対する罪悪感から、再び涙を溢れさせていた。
「気持ちよくってっ、それでっ修ちゃんだからっだからっ、欲しくって、でもでも僕男だけど、すごく修ちゃんが欲しいからぁっ。お願いっもっとしてっ」
 冷静に考えれば魔物の言っている事はめちゃくちゃだった。けれど、凛太郎にはその判断が出来なくなっていた。涙ながらに欲しいと懇願するが、魔物は取り付く島もなかった。
「やあよ。もう萎えちゃったし。きみって淫乱な上に自分勝手だわ。彼の身体だけ欲しいなら、これから目が覚めるまでイキたくてもイケないようにしてあげる。勝手に弄ったり出来ないように、手も足も自由を奪っておいてあげるわ。今まで味わった快楽を思い出して、苦しみなさい。今まで言った自分の言葉と行動を思い出して、後悔しなさい。彼を自分の快楽の道具にした事を思い出して、罪悪感を感じなさい」
 魔物は冷たく言い放つと、次第に辺りが暗くなりその姿を飲み込んでいく。最後に意味ありげな笑みを口元に浮かべて。
「あ、まってっ、まってよっ!」
 叫んでも、誰も返答しない。周りを見回しても何も見えない。
 股をびしょびしょに濡らし、股間を曝け出したまま、凛太郎は再び手足の自由を奪われてしまった。身体がどうしようもなく刺激を欲し疼き、頭の中では「おち○ちん欲しいよお」と響く。その混沌とした意識の中で、魔物の言葉が凛太郎の心に突き刺さり支配していく。
(修ちゃんのおち○ちんっ、ああっ、やだよ、男なのに欲しくないよっ、なんでもっとしてくれないの? 恋なんてしてないよっ、おち○ちんが、欲しいだけだよ、違うっ、好きになっちゃダメだからっ、修ちゃん太くて堅いおちん○ん持ってる男の子だから、中に入って欲しいなんてっ、ちがうってばっ、思ってないよお、修ちゃん、ごめん、好きじゃないよ、修ちゃんが欲しいよお、ここ埋めて欲しいのお、僕も男だから、好きじゃないよっ、修ちゃん、修ちゃん、もう助けてっ、しゅうちゃん、ぼく、しゅうちゃんほしいよ、ぼく、おんなのこ…………)
 突然、凛太郎の頬に痛みが走った。二度三度。誰かが頬を叩いている。ぼーっとした頭に遠くで凛太郎を呼ぶ声が聞こえる気がする。
「あら、いいところで来たわねぇ。ま、次があるか」
 暗闇から魔物の小さな声が上がったが、凛太郎には聞こえなかった。
「……り……ち……、りん……ん! りんちゃん?! 凛太郎! どうしたのっ?!」
 凛太郎が声に反応し目を開けると、ぺちぺちと千鶴が凛太郎の頬を叩いていた。必死な形相に凛太郎は驚いていた。
「……あ、お母さん? ……お母さん! 今っ、アレがっ、魔物がっ僕のことっ!」
 ベッドから上体を起こし、泣きながら千鶴に思い切り抱きついた。柔らかい胸の感触が心地よかった。
「凛太郎、大丈夫? 魘された声が聞こえてきたから。魔物がどうしたの? 何かされたの? 十字架は?」
 強からず弱からず、千鶴は凛太郎を優しく抱きしめた。凛太郎のパジャマは汗でびっしょり濡れ、顔も涙と鼻水でぐちゃぐちゃだったけれど、凛太郎の髪を撫で落ち着かせようとしていた。
 夢だったらどんなに良かっただろう、凛太郎はそう思っていた。しかし母からは見えない掛け布団の下は、ショーツもパジャマもシーツさえも、自分の愛液と汗でドロドロになっている。「夢であるけれど、現実」なのだ。いくらなんでも自分の浅ましさや淫乱さを、母に曝け出す事は出来なかった。
「じゅうじか、効かなかった。アレが……言葉で、嬲るんだ……。男なのに女の子になったって……」
 凛太郎は言いながらも、修一のペニスがまだ膣に入っているような感じに、身体をぶるっと震わせていた。
「そう……。一人で寝られる? もし怖かったらお母さんと一緒に寝る?」
 多分、千鶴は何事か感づいたのだろう。それ以上は聞かなかった。凛太郎はもう一度寝るのが正直言って怖かった。しかし今の状態では立ち上がる事さえ出来ない。
「ううん、大丈夫。寝られるから。心配させてごめんなさい。お母さん明日も早いでしょ? ゆっくり寝てよ」
 千鶴を何とかこの場から立ち去らせようと、凛太郎は無理に微笑んで見せた。
「そうね、じゃあ、寝かせて貰うわ。凛ちゃん、ちゃんと汗拭いてね。それから顔拭いてから寝なさいよ。すごいから」
「うん、おやすみなさい」
 凛太郎の返事を聞くと、千鶴は静かに部屋を出て行った。
 凛太郎はもそもそと布団から出て、パジャマとショーツを替えた。勿論シーツも。ベッドに上がったけれど、眠れるとは思えなかった。全然身体の火照りが収まらない。
「明日は早めにシャワーして、パジャマとパンツ洗って。シーツは洗濯機に放り込んじゃえ」
 独り言を言いながら、不意に涙が溢れてくる。どんどん溢れてまたシーツが濡れてしまった。
「修ちゃんが欲しくなっちゃう僕が悪いんだ。男なのに、女の子になっちゃったから、修ちゃんが……。修ちゃんも男なのに……」
 自分が全部悪い、そう呟きながら、真っ黒く染まった思考は渦を巻いて凛太郎の心を苛み始めていた。そして欲しくないと思えば思う程に、身体の奥底では、未だあの肉の棒が与えてくれる刺激を求めているのが解り、益々涙が止まらなくなった。

 * * * * * * * * *

 修一の周りで甘い香りが漂っていた。甘いけれど鼻を突くような甘さではなく、心地よい香り。その香りの微粒子を思い切り吸い込むと、陶酔にも似た心地よさが感じられた。目の前には雪のように白い肌。その肌は修一の無骨な手で触れてもつるつると滑っていく。そのきめの細かさと程よく脂肪のついたお腹を見ると、その少女は顔を赤らめ修一から目を離した。
 修一は脇腹から肋骨に乗っている脂肪をかき集めるように、その大きな手を乳房へと移動させていく。少女は頂点に近くなるに連れ、もじもじし出し必死に声を上げまいと、修一から顔をそらし横を向きながら、小さな唇の中に人差し指を横にし、それを噛む。
「んんっ、はぁっ……」
 少女が思わず吐息を漏らす。修一はニンマリすると、少女を責め立てた。
「胸、気持いいか?」
 ゆっくりと修一の大きな手でこね回され、少女は息も絶え絶えとなろうとしていた。
「まだ……よくなってないよ……。もっとしていいから……」
 少女は修一の方を向き直り、自らの希望を語った。修一は胸の上に鎮座している小さな赤い乳首に狙いを定め、軽くキスをする。そのほんの少しの刺激だけで、少女の身体は大きくうねり、容易に感じている事がばれてしまった。
「はぁっ、すごくいいっ……。もっとぺろぺろしてぇ。乳首しゃぶっていいからぁ、もっと刺激的にしてぇ」
 修一は可愛らしい少女の乳首を口に含むと、唇で強く挟むようにした。そしてそうしながら乳首の先端を舐めていく。その刺激だけで呼吸も難しくなっている少女は、修一に甘えた声で自分の状況を伝え始めた。
「もう、すごいの……。そこから全身に快感が広がっていくみたい。修ちゃんがすごく巧いから、もう濡れてきちゃった……」
 頬を赤く上気させた顔には、淫欲に支配されたような表情になり、修一の心を掻き立てる。早く犯してやりたい。ぐちゃぐちゃにしてやりたい。その修一の表情を読みとったのか、少女はにっこりと微笑んだ。
「パンツ、濡れてきて気持悪いから、脱がしていいよ。もう来て」
 思わず口付けしたくなりそうな小さな赤い唇から、らしくない言葉が修一の耳に届いた。もう既に我慢の限界付近までいていた彼の欲情は、直ぐに彼女に対して発揮される。
 可愛いといった形容がぴったりの少女だったが、インナーは今日の事を予期していたのかやけに視覚に訴えるものだった。全体の色は黒で、ウェストの位置はグルッとレースで飾られている。腿の付け根は程良く抉られていて、股関節が見えているけれど、切れ込みすぎてはいない。そしてショーツはその部分にもレースが施されていた。修一は一瞬、このまま鑑賞していたいと思ってしまったが、自分の痛いほどの勃起で我に返っていた。
 修一が身を起こし、少女のショーツに手をかけると、少女は脱がせ易いように少し腰を浮かせる。修一の大きな手は少女の腰の少し後ろへ移動したかと思うと、徐にショーツが引き下げられた。ふくらはぎまでショーツが下ろされると、少女は少し恥ずかしいのか、両手で胸を隠し両方の膝をつけてしまう。「もう来て」という言葉とは裏腹に少女は濡れてしまったソコを、修一に見せたく無いように見えた。
 途中までショーツを引き下ろした後、修一は再び少女の上半身に絡みついた。どこで覚えたのか、一方の胸を揉み、一方を口で転がしながら、巧みに足を使いショーツを足から抜き取る。一連の動作を無言でこなしていた修一に少女が訴えた。
「修ちゃん、何か言って……。もっと優しくしてよ……」
 尚も口をつぐんだまま、少女の足を割りその間に入り込む。そしてやっと修一が口を開いた。
「俺は、お前が大好きなんだ。一目会ったときから虜になっちまったんだ。会う度に好きになって惹かれて、もうダメだ。止められない。お前が悪いんだぞ、可愛すぎるから。全部貰うからな。ここまで来たら止まれねーからな」
 既にパンツから飛び出していた修一のペニスからは、先端からトロリと透明な液体が垂れ、少女の膝から腿に掛けてを汚している。
「僕も修ちゃん大好き。たくさん愛して。僕の身体でたくさん気持ちよくなってっあぅっん!」
 少女が答え終わる前に、修一がその大きなペニスを無遠慮に付き入れた。その瞬間、少女は軽く歓喜の声を上げてしまう。修一はペニスから伝わる、少女の繊細な器官、そこにある襞の一つ一つや、筋肉のうねりがもたらす複雑な締め付けに目が眩むようだった。下手に気を抜くと直ぐにイッていまいそうになる。少女のソコはそれ程刺激的で、強烈な感触を与えてくれた。
「ああっ、修ちゃん、すごいっ! 太くて大きいのが奥まで来てるぅっ。ああんっ。ダメっ、いいよぉっ!」
 修一の張り出したカリが膣壁を掻き出そうとする度に、少女には内蔵が掻き出されるような感触を与えていた。しかし当の本人にはそれが堪らない刺激となった。
 二、三分ほど単調なピストン運動を続けていた修一だったが、強烈な締め付けと襞のうねり、そして何よりも大好きな憧れの少女を自分が貫いているという興奮で、一気に絶頂まで行ってしまう。
「うっ、俺ももう、ダメそうだっ、もうイクぞっ? イッちゃうぞっ!」
自分の腰を少女に思い切りたたきつけながら、ペニスが抜けきる寸前まで出し、再び子宮口まで一気に付き込む。「あん、あん」と修一のペニスが付き込まれる度に、修一の腹の下で声を漏らす少女。彼女もまた絶頂が近づいていた。
「あっあっ、まっってっ、もうちょっと、いきそうっ、いっちゃうからあっ! 修ちゃん、一緒にっ! 中でイッて! 思い切り僕で、僕の中に出してえっ!」
「リンタっ、好きだっ、はっ、もうっイクっ! ああっ!」
 一層固くなったペニスが、ちょっとの間を置き一気に爆発した。本当であれば少女の膣内に吐き出されていた筈の修一の欲望は、栗の花の臭いがする粘液を大量に噴き出させ、修一の股間、下腹、胸の辺りまで汚した。勿論ペニスをしっかり握り、ずっと扱いていた右手にもたくさん付いている。修一は大きく息をしながら、そこら中で付着した精液をティッシュで拭い、後始末をしてから、パンツを穿いた。
 ここ数日、毎日凛太郎をオナペットにしている。修一にとっては、それまでAVやエロ本などが自分のリビドーの対象となっていたが、連休中に凛太郎をデパート前で見かけてからと言うもの、ずっと凛太郎を対象としてしまっていた。尤も、当初は千鶴に似ている理想的な女の子として、夜ご登場願ったわけだが。
 思い描いている同年代の女の裸と、学校で見る凛太郎とその身体のアウトラインから、ある程度の想像をしながら修一は妄想に耽っていた。特に日曜日を経てからと言うもの、何度想像の中の凛太郎の膣内で果てても、欲情に駆られる神経が落ち着く事はなく、結局何回も吐き出す結果となっていた。
「……空しいよな、これって。片想いどころか、完全な女じゃないんだからなあ」
 覚悟して、凛太郎を守ると宣言していたはずだった。しかし一度自分の理想だと思った少女が、自分の親友であり男だったと言う事実は消せなかった。そしてその消しがたい事実よりも修一を驚かせていたのが、今の凛太郎を愛しく想っている事だ。自分を男だと言っている親友が好きになっている、この事実は修一自身の胸に重くのしかかっていた。
(もしリンタが最初から女だったら……、親友にはなってなかったか。まして彼女になっていたか、ってそりゃ無理だよな)
 元々あっさり、しゃきしゃきしてた性格の修一は、くよくよ悩んだり内に籠もる奴が嫌いだった。中学一年からずっと一緒だった凛太郎は、席順が前後していた関係で、プリントを回す時などに顔を合わせる程度だった。当初から修一は凛太郎を見るなり「女みたい」と思っていた。もしその時、女生徒の制服を着て教室に佇んでいたといたら、恐らく全ての生徒が、多分教師までも女だと思ったに違いない。これは凛太郎を除いた同級生全ての意見でもあった。凛太郎は初対面から友達になれたと思っていたが、修一の方は実はそうでも無かった。
 ただ時折見せる激しく、自分の主張を頑とし曲げない性格は、修一から見ても「男」として写っていたし、そんな凛太郎の崩れそうで崩れない、強そうでいて脆い一面に非常に興味を持ったのも事実だった。
 修一自身が持っていた男らしさと、凛太郎が持っていた男らしさは全く異なっていたが為に、お互いがお互いに興味を持ったとも言える。修一は自分の外面的な男らしさより、凛太郎の自分に自身を持てないけれども、なんとか自分を好きになろう、自分の良いところを出そうと藻掻きながらも進もうとする姿に、男らしさを感じていた。もし自分がこのような状況となっていた場合はどうだったのか。耐えながら藻掻きながら、進んでいけたかどうか、修一には疑問だった。だから修一はこの儚い強さを持つ女の子のような男の子をよく知りたいと願ったのだ。
(俺がリンタと友達になった理由って、男として興味あったからだもんなぁ……。大体その辺てあいつとも話ししてんだよなあ)
 凛太郎がしきりに修一はホモじゃないと言っているのは、お互いが男として足りない部分を見つけ、それに惹かれたのを知っていたからだ。修一もこの点については承知している。男の凛太郎に興味があったのは、肉体ではなく精神的な問題だった。しかし今はどうか? そう問われたなら、肉体だけに興味が行っているように感じている。しかも凛太郎がどう考えているかは無視して。
 凛太郎が肌のことでどれだけ嫌だったか話しは聞いているし、それを取り除く努力は惜しまなかったのも知っている。千鶴と凛太郎の父親が離婚した時も、何も出来ない自分を腹立たしく思っていたのも知っている。凛太郎の親権を争って泥沼化した時、どうしたら良いんだろうと泣いていたのも知っている。修一は、凛太郎がその都度自分なりに力の限りを尽くしていたのを近くで見てきている。例え結果が伴わなくとも、そうしてきた事実は変わらない。修一にとってはその件でも、「凛太郎は凄い」と思う理由になっていた。そして今回も。
 修一は自分が女になったらどうしようと思ってしまう。取りあえずオナニーでもしてみようか、そんな事を思ってしまう。しかしそれは女に変わらない事が解っているから言える事だ。実際に変わったら自分を見る親の目も代わるだろうし、笑だって解らない。これまで自分で培ってきた物の価値観も全く変わってしまうだろう。それに果たして耐えられるのか。今の凛太郎が気丈に振る舞っているのは、烏滸がましいけれど自分の影響も多分にあると修一は思っている。
(今してることってのは、リンタ裏切ってんだよな……。考えてみたら男が男守るっての自体が変だもんな……)
 男同士の友情から恋愛感情へ。しかしいびつに歪みきったこの構図は、おいそれと修正が出来ないと修一も解っていた。凛太郎が男だと主張する限り、この恋愛は成就しない。凛太郎に「女の子として好きだ。彼女になってくれ」と言ったとしても拒否されるのは目に見えている。最悪、友情すら失うだろう。今の修一にとっては凛太郎と離れる事は身を引き裂かれるより辛い事のように思える。そんな事になるのなら、今のままで、親友の「フリ」をしながら側にいる方がいいのではないか? 
 この所修一自身が不思議に感じ始めている事が二つあった。一つは凛太郎を女の子として見る事について違和感が無いこと。最初の印象が強烈過ぎて、女の子として見ているのだと思っているけれど。少女然とした顔立ちも、むしゃぶりつきたくなるような赤い唇も以前とほとんど変わらないけれど、全体のシルエットが女性だ。いくら凛太郎が男であると思ってみても、本来男にはない膨らみを覗きこんでしまった時には女の子としか見えなかった。あまつさえ「目の前にいるのは男ではあり得ない」とまで考えていた。見えた瞬間は頭がクラクラした。笑がいなかったら抱きついていたかも知れない。なぜ「男の凛太郎」を否定したのか、自分でも解らなかった。
 そしてもう一つは、凛太郎を想ってするオナニーは、これまでのモノとは比べ物にならない位凄いのだ。修一はまだ童貞だから「女」は知らない。しかし自分のゴツゴツした手でしているとは思えない快感がある。それはこれまでの経験では得たことが無い物だった。目を瞑ってイメージすれば、凛太郎の痴態が遠慮なく目前に広がって、まるで直ぐソコで自分に身体を開いているような感覚を覚える。「あまりにも好きになり過ぎて妄想がパワーアップした」と修一は解釈している。しかし心のどこかでリアルすぎるとも思っていた。だとするとどんな理由が考えられるのか。
(サキュバスって男にはスケベでリアルな夢を見せるって見た事あるな。リンタが言う魔物がそれなら、俺が味わっているはそいつが見せてる幻って事なんか?)
 修一には解らなかった。魔物を通して自分のペニスが凛太郎を貫いている事を。そして凛太郎の膣を魔物を通し修一が感じている事を。
(ありえねーって。おれがスケベ過ぎて妄想の中でリンタ犯してるだけだ……。ああ、こんなの続けてたら頭おかしくなっちまう。抑えが効かなくなりそうなのが怖ぇよ。……リンタが全部女になるなら……なぁ……)
 修一も藻掻いている。どんどん凛太郎を好きになる自分が止められない。凛太郎と肌を合わせたい衝動に駆られてしまう。そばで愛らしい表情や女の子っぽい仕草をされると無性に抱きしめたくなる。そんな野獣の感覚を抑え込むのも苦痛になり始めていた。
(……マジでやべぇ。他の奴らに近くに寄って欲しくねーよ。リンタの近くに寄っただけでどうにかしたくなっちまってる……。抑える自信無くなって来てるよ。リンタっ悪いっ!)
 修一の中の凛太郎は眩しい笑顔を向けている。そう思うとドキドキし、再び下半身が熱くなる感じを覚えた。熱く固くなった自分の肉塊を掴むと隣室で寝ているであろう笑を起こさないように、凛太郎に挿入する場面を想像しながら、ゆっくり静かに扱き始めた。


(木曜日へ)


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